kishin 貴真

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20240606

/PHOTOGRAPH

記録動画用に中華なAFレンズ

FUJIFILM X-E1 + TTArtisan AF 27mm F2.8 Black

私は、FマウントとM42マウントのレンズを40本弱所有しているが、全てマニュアルフォーカスレンズであるため、ミラーレスカメラを三脚に乗せて定点で記録動画を撮影する時には、ピントは固定で自身の作業風景などを動画撮影していた。しかし、こうした用途の動画撮影となるとやはりオートフォーカスが欲しくなる。

という事情もあって、いくつかの条件を満たすレンズを探してみた。
❶ FUJIFILM X-E1でAFが機能する。
❷ 純正レンズほど高価ではなく、2万円前後で入手可能。
❸ 焦点距離は35mm判換算で35mm~50mmくらい。
❹ 画質は値段相応で良いが、致命的に安っぽい絵作りはダメ。

この条件を満たしてくれそうなレンズを見つけた。中国は深圳でレンズを開発・製造している銘匠光学の《TTArtisan AF 27mm F2.8》である。FUJIFILMのXマウント用は2022年に発売されているのですでに新しいレンズとは言えないが、国内での新品価格は特に落ちている様子もなく、26,000円程度で取り扱われている。発売から数年経っても値段が落ちずに製造終了にもなっていないという事実は、良い製品である可能性が高いことを示唆している。

ただ、私の場合には普段使いのレンズとして使いたい訳ではなく、完全に記録動画用という限定用途であるため、できればもうちょっと抑えた価格で入手したかったので、eBayを覗いてみると現地中国の販売者が新品を17,000円程度(送料無料)で出品していたのでこちらで購入することにした。eBayだと、購入してから手元に到着するまで2週間前後待つことになるのだが、急ぐ理由もないし、多少待つだけで9,000円安く入手できるなら悪くない。

このレンズについて調べてみると、公式からレンズプロファイルとファームウェアのアップデータが配布されていることが分かった。

FUJIFILM X-E1:TTArtisan AF 27mm F2.8 + Kenko AC Close-up No.4:ISO200 f2.8 1/125

■■周辺減光について

開放F2.8~F4くらいまではそれなりに周辺減光が見られるようで、Raw現像時にそれに対応するためのレンズプロファイルが公式から配布されているのを見つけた。ただ、私の環境(iMac/MacBook Air)では、添付されていたインストール方法ではうまくいかなかったので以下をメモとして残しておく。

添付の説明では、レンズプロファイルを以下の場所にインストールするように指示がある。
Macintosh HD\Library\Application Support\Adobe\CameraRaw\LensProfiles\1.0

しかし、ここにインストールしても私の環境ではPhotoshopやLightroomで認識されなかったので、別の場所、すなわち以下にインストールすることで解決できた。
Macintosh HD\User\(UserName)\Library\Application Support\Adobe\CameraRaw\LensProfiles\1.0
なお、上記にあるUserName内の「Library」は隠しフォルダになっているため、Finderメニューの「移動」を開いた状態でoptionキーを押すとメニュー内に現れる「ライブラリ」から入っていく必要がある。

このレンズプロファイルを適用することで、撮影写真の周辺減光/収差/歪み等はかなり改善できるので、Raw現像の際にはこのプロファイルを適用するところから始めるのが良さそうだ。もちろん、周辺減光を活かした写真は、それはそれで趣きがあって悪くないので生かすも殺すも感性次第といったところだろう。

■■ファームウェアについて

このレンズには、USB-C端子付きのリアキャップが付属しており、USB経由でパソコンに接続してユーザー自身でレンズのファームウェアのアップデートを行える。入手した際は、新品未使用のためバージョンアップがされていなかったので、2023年5月17日に配布された最新の「V1.1.1」にアップデートした。
ダウンロードされる、拡張子が「.rar」のファイルを展開するには、Macなら《The Unarchiver》がおすすめ。

注意点としては、この作業で使用できるのはWindows PCだけなので、Macしか持っていない私のようなユーザーはちょっと困ってしまう。そして、意外と盲点だったのが、USBケーブルの種類で、充電専用ではなく “データ転送” に対応したケーブルでなければいけないこと。私は、USBケーブル経由でデータのやり取りをする習慣が無いため、手元にある沢山のUSB-Cケーブルは全て充電専用だった。そのため、今回この用途のためだけにデータ転送対応のUSB A-Cケーブル(0.5m)を入手した。

ということで、TTArtisan AF 27mm F2.8やUSBケーブルやダウンロードしたファームウェアなどを持って、Windows PCが使えそうなネットカフェ《快活CLUB》に行ってみた。

快活CLUBは10年ほど前に利用したことがあったのだが、会員証は既に紛失してしまっていたので、新たにスマホアプリで仮登録をしてから、免許証と一緒に提示した。サクッと会員登録を済ませてから、Windowsを使用できるブースに入った。

Windows PCさえあれば後は簡単で、ファームウェアのアップデート手順に従ってパソコンとレンズをUSBで接続して簡単な操作をするだけ。2~3分で作業は完了した。ブースの最短利用時間は30分だったが、ドリンク1杯を飲み干してサクッと出てきた。

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上の動画は、Kenko Close-up No.4を併用した至近距離&開放F2.8でのAF撮影テスト。

実際に、定点で動画を撮影してみた印象としては、そもそものAFを動作させるカメラ本体が今となっては非力なFUJIFILM X-E1なので焦点の認識に時間がかかる場面もあるのだが、カメラ側が認識してからのレンズ側のオートフォーカス動作は想像以上にスムース且つ静かで、撮影される画像や音声にも悪影響は見当たらない。なるほどネットの評判がおおむね良好なことにも頷けるものであった。

FUJIFILM X-E1:TTArtisan AF 27mm F2.8:ISO200 f2.8 1/100

画質に関しては、開放F2.8から使えるピント面のシャープネスは評価できるが、少々線が太めの印象で、結果として精細さや空間表現に欠けたのっぺりとした絵づくり傾向にあるものの、価格や中華品質であることを考慮すると充分だと思う。

FUJIFILM X-E1:TTArtisan AF 27mm F2.8 + Kenko AC Close-up No.2:ISO200 f2.8 1/600

FUJIFILM X-E1:TTArtisan AF 27mm F2.8 + Kenko AC Close-up No.2:ISO200 f2.8 1/320

私個人の感性からはメインのレンズとして持ち歩きたいとは思わないが、動画専用のAFレンズとして割り切って使うなら及第点だろう。一方で、90gの軽量パンケーキレンズでAF搭載というスペックは魅力的だし、35mm判換算で40mmという画角もスナップにはちょうど良いので、さほど画質にこだわらないようなお散歩レンズとして小さめなボディのミラーレスカメラに乗せて使うなら悪くない選択肢としておすすめしてもよいレンズだろう。

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