20250323

/FOODSPHOTOGRAPHSTRiDA

初春のしまなみ日和

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f8 1/1600

雲ひとつない快晴の日は家に閉じこもっている場合ではない。週末に朝から洗濯や掃除を済ませてSTRiDAに乗り、しまなみ海道に向かう。この日は、前日にフランスから届いていたオールドレンズ《Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9》を使うのを楽しみにしていた。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f2.4 1/800

自転車で爽快に走っていると季節の変化が眩しい。
草花が次第に芽吹きはじめて陽光を受けてきらきらしている。暖かな光を受けて光合成をしている猫さんからは平和の音が聴こえてきそうだ。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f4 1/320

しまなみ海道に入ると、心地よい天気の良さの中、多くの人がサイクリングを楽しんでいる。特に目を引くのが外国人の方々で、半数くらいがそうなんじゃないかと感じるほどの盛況ぶりだ。

分かる。すごく分かる。しまなみ海道はイイ。
その存在が今治への移住の大きな理由のひとつだった私が言うのだから間違いない。

STRiDAはスピードを出す自転車ではないので、どんどん追い越されながらのんびりゆったりとした気分で走っていると、強い追い風の助けもあり、あっという間に大島に到着した。この日は前々から気になっていたパン屋/カフェ《Paysan》をまず最初の目的地にしていた。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f4 1/2000

しまなみ海道から大島に降りると、白浜に打ち寄せる波が涼しげで綺麗。遥かな海を眺めながら海岸線に沿って外周ルートを北に向かえばPaysan付近に到達する。もう幾度目かの道なので地図を見たりする必要もなく軽やかな気分で初春の大島を愉しむ。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f1.9 1/100

初訪問のPaysanに到着。カフェ店内は居心地の良さそうな空気に満ちていて魅力的。まだ開店間もない時間帯だったためか混雑もなくて良かった。光と空気の流れの良い窓際の席を選んで、早々に注文を済ませる。

注文したものが届くまでの間、Vivitarの写りを色々と試してみる。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f1.9 1/250

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f1.9 1/640

玉ボケの輪郭が濃い “バブルボケ” が綺麗で、被写界深度を浅くした時の前後のボケ味も自然で空間表現が良好なレンズという印象。そして、焦点部のシャープネスはなかなかのもので、かなり好みのレンズだと感じた。色乗りがちょっと控えめなのも品のある写真になってGood。撮っていて気持ちの良い一本にまた出会えた。

M42マウントのVivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9は、比較的玉数が少なく、更に状態の良い個体となるとなかなか市場に出回らないらしい。今回はeBayでMINT状態のものを相場よりちょっと安めの価格設定で見つけ運良く入手できた。

フランスから16日で到着したが、商品説明通りで工学系はチリやカビなどは皆無で素晴らしくクリアだった。ただ、酸化トリウムレンズを搭載しているため、経年で黄褐色化するブラウニング現象の症状が見られる。これについては、また時間をかけてUV照射をすることで改善している最中である。

なお、このレンズは一説によると《Panagor Auto Wide-Angle 35mm F2》と光学設計が同じということらしい。先日行ったVivitarとPanagorの90mm Macroレンズの比較のことやVivitarとPanagorというOEMをベースとした2つのブランドの関係性を考えると無くはない話だと思う。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f2.8 1/500

Vivitarの写りを愉しんでいるうちに、注文したチーズバーガーとみかんジュースが到着した。見た目からして美味しいバーガーだ。パティは2枚入っていて食べ応えがあり、ソースもバンズも美味しい。ピクルス好きとしては別添えで付いてくるのも嬉しい。窓から射し込む眩しいほどの春光の温かさを感じながら美味しいチーズバーガーをゆっくりと味わうひとときは幸福感でいっぱいであった。

Paysan、大島に来る際にはまた立ち寄りたいカフェとなった。

この時点で時刻はまだ12時。せっかくの気候なので腹ごなしにもうちょっと足を伸ばしてみようと思い、次は伯方島を目指すことにした。到着する頃には多少お腹も空くだろうから、伯方の塩ラーメンを目指してSTRiDAを走らせることにした。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f2.4 1/800

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO400 f2.8 1/125

途中、通りがかった神社などを参拝しつつ伯方島に到着し、道の駅で伯方の塩ラーメンと大島レモンソフトを食べた。伯方の塩ラーメンは、正直に言うと何の変哲もない塩ラーメンなので、一度食べたらもういいかな~(何なら食べなくてもいいかな~)という印象。大島レモンソフトはレモン味が濃くてすごく美味しかった。

浜で少し休憩してから帰ることにしたのだが、この日はここからが大変だった。

走行中、急に「パンッ!」という大きな音がしたので慌てて止まると後輪がバーストしていた。ただのパンクなら修理キットを持ち運んでいるのでその場で直せたのだが、タイヤが20cm程度も裂け、内部のチューブもちぎれてしまいそうな状態になってしまうと修理は不可能で交換するしかない。

長年STRiDAに乗っているが、こんな “狙撃されたんじゃないか?” というバーストのしかたは初めてだったので驚いてしまった。ただ、走行していた道を確認しても特に鋭利な何かが路上にある訳でもなく、原因は未だ不明。タイヤもチューブも新品交換してからまだ4ヶ月弱で、この日の朝、出発する際にはタイヤのチェックもしているので擦り減っていたということでもないし、何故こんな状態になってしまったのかは謎のままだ。

FUJIFILM X-E1:Vivitar AUTO WIDE-ANGLE 35mm F1.9:ISO200 f5.6 1/2000

さぁて、どうしようかと考えつつも大人なので別段焦ったりすることもなく、風景写真を撮りながらとりあえずは1時間半ほど歩いたところにある『よしうみバラ公園』までSTRiDAを押して歩き、そこで今治市内のタクシー会社に連絡して来てもらい、STRiDAは折り畳んでトランクに収納して家まで運んでもらうことにした。

帰路もしまなみ海道を走りたかったのだが、まぁこんなこともあるのが人生だ。
結末はともかくとして、十二分にリフレッシュできる良い初春の週末であった。

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