STRiDAの後部には小さいが耐荷重10kgのキャリアが搭載されているので、荷台用ゴム紐と併用すればそれなりのサイズの荷物を積載することは可能になっている。私はちょっと遠出をする場合には、ここに輪行バッグやパンク修理キットなどをまとめた袋を載せている。
ただ、荷台用ゴム紐だとキツく締めて固定することになるので、例えばパン屋や餅屋で買い物をした場合などには押し潰すわけにはいかないので、いつも持ち歩いているショルダーバッグに入れることになるのだが、交換レンズや本や水筒などが入っているバッグは結構重い。
それを解決して快適にサイクリングできるようにしようと考えて、RIXEN&KAUL(リクセンカウル)に手を出してみることにした。目指すのは、ショルダーバッグを入れられる前カゴの設置である。
STRiDAに使えそうなRIXEN&KAULのアタッチメントは何種類かあり、私の以下の要件を満たすものを検討してみる。
●前カゴを無理なく設置
●アタッチメントを付けたまま折り畳み可能
●ペダルを漕ぐ際に膝が前カゴに当たらない
この条件を満たすアタッチメントとして《エクステンダー CK810》を選択した。ちょっと検索してみたところ、中古品で一部分を削ってはあるが強度や使い勝手には影響なさそうな物が半額程度で販売されているのを見つけたので早速購入してみた。
なお、エクステンダーCK810に付属の標準スチールバンドの適応径はφ25~32mmとなっており、STRiDAの前フレームは丁度φ32mmかそれ以上ある(個体差がある?)ため、より太いφ32~36mmに対応した別売りのスチールバンド《CO836》も入手して準備を整えた。
そもそも、エクステンダーはシートポストに設置する用途を想定している製品であるため、このスチールバンドは銀色のスチールバンドを輪っか状にして、金色の真鍮製のネジ受け部品でかしめて固定する造りになっている。つまり、通常ではシートポストを抜いて、このスチールバンドの内側に差し込んで通すことで設置できる仕組みだ。
STRiDAの前フレームにこのスチールバンドを設置するには、まずはかしめを削って輪っか形状を解除する必要がある。構造は単純なので状態を確認しながらミニルーターで焦らず丁寧に削っていくことでパッと外れてくれた。かしめを外したことで強度の低下は生じているのだろうが、他に選択肢は無いので仕方がない。
前フレームにスチールバンドを通してから、エクステンダーを設置する。イイ感じだ。
なお、エクステンダーの穴を通してスチールバンドを固定するネジの先端は、そのまま土台となるパイプに刺さるかたちで押し付けられるため、その部分には傷がつく点は知っておいた方がよいだろう。逆に云えば、それくらいしっかりと締め付けないと耐荷重を得られないと思う。
エクステンダーが設置環境に合わせて上下を逆に設定できるデザインになっているおかげで、STRiDAの後方に傾いた前フレームでもちょうど良い角度で設置できた。ただし、ひとつ問題があって、この状態だと通常の折り畳みの仕方では、下フレームの先端がエクステンダーにぶつかって折り畳むことができない。
STRiDAの通常の折り畳み手順は‥‥
❶ 下フレームを外す
❷ 前後のタイヤをマグネットで吸着する
❸ 3本のフレームをまとめるように固定
‥‥となるのだが、この手順を以下のように変えることで折りたたむことができた。
❶ 下フレームを外す
❷ 下フレームをエクステンダーの横を通して3本のフレームを近づけておく
❸ 前後のタイヤをマグネットで(多少強引に)吸着する
❹ 3本のフレームをまとめるように固定
❸~❹が少々厄介でスムースにはいかないのだが、慣れてコツをつかめばきっと大丈夫だと判断した。一旦畳めてしまえば、輪行バッグにも入るし、折り畳みを解除する際には不都合はないのでこのまま運用できる。
エクステンダーを使って前カゴを設置した際の距離感としては、前フレームから十分に離れているので、ペダルを漕いでいる時に膝が当たったりすることもない。
ちなみに、STRiDAの△形という構造上、サドルの位置を高くすればするほどサドルは前方に推移する。私の場合はかなり高めに設定していて、漕ぐと膝が前フレームよりも10cm以上前に出るのだが、それでもカゴに当たらないのでエクステンダーを選択して正解だった。他の選択肢として《ヴォーバウ KR810》や《キャディー KR851》というアタッチメントもあるようだが、これらはクリアランスが小さいので問題が出ただろう。
アタッチメントを設置できてしまえば、あとは簡単だ。
KLICKfixに対応したカゴを用意してアタッチメントにカチッとセットすればいい。私が選んだのはRIXEN&KAULで最もシンプルなカゴ《ニューワイヤーバスケット KF805WBK》。いつも使っているショルダーバッグがちょうど入るサイズ感で好都合。
なお、このカゴは下に向かってすぼまっている形状のため、上部/下部でサイズが異なるのだが、ネット上にはその情報が見当たらないので参考までに書いておこう。
上部内寸≒W380mm x D280mm
下部内寸≒W310mm x D210mm
エクステンダーの耐荷重は5kgとなっているので、カゴの重量1.3kgを差し引くと、500mlのペットボトル7本分くらいの荷物は載せられる計算になるので私の場合にはまぁ十分と考えている。
STRiDAユーザーにおすすめのカスタマイズか? と問われると難しいところではあるが、折り畳みしにくくなる点や、カゴを取り外している場合には見た目がちょっと変な感じになることを許容できるのなら、また、かしめを切削加工する手間をかけられるのなら、カゴを設置する方法の選択肢のひとつとして考えてみても良いだろう。私の場合は、雨の日以外はほぼ毎日乗っているため、文字通り “肩の荷が降りて” かなり快適になって喜んでいる。