家で使用している光回線を別に会社にする。今まではOCN光を使用していて、今後はBIGLOBE光にするのだが、それに合わせてMVNOもOCNモバイルONEからBIGLOBEモバイルに変更することにした。
MNPを含め、このあたりの仕組みや手続きには詳しくないので、数年に一度訪れるこうした機会にはいつも数日かけて調べながら申請書やらスターターキットやらのやり取りをしてようやく乗り換えが完了できる “煩わしい手続き” という記憶だけがあるのだが、今回は「最速で即日発行」という触れ込みの『eSIM』を選んでみることにした。物理的なSIMカードを必要とせずにスマホをモバイルネットワークにアクセスできるようにするシステムである。
まずはBIGLOBE光の方の申し込み等を諸々処理してから、いよいよiPhoneをBIGLOBEモバイルに乗り換えるための申し込みを始める。MNPについては『MNPワンストップ方式』というMNP予約番号の取得なしで手続きを行える仕組みがあるようなので、それを利用して申し込むつもりだったのだが、残念ながらOCNモバイルONE → BIGLOBEモバイルの場合にはワンストップ方式は適用できなかったので、まずはOCNでMNP予約番号の発行申請をする。
「MNP予約番号の発行には3営業日かかります。」という注意書きがあったので、気長に待つことにした。‥‥のだが、申請から30分経った頃にiPhoneへショートメッセージでMNP予約番号が届いた。OCNという会社は、1営業日は10分という計算で稼働しているようだ。
早速、BIGLOBEモバイルの申込み手続きを再開する。
BIGLOBEモバイルの申込み画面に従って滞りなく申込み、オンラインでの本人確認(eKYC)などのプロセスを経て、かなり簡単にeSIMのインストールまで辿り着いた。
このあたりで、あるミスに気がついた。
iPhoneのSIMスロットに元々入れていたOCN用のnano-SIMカードをそのまま入れた状態でeSIMのインストールやBIGLOBEモバイル用の設定を進めていたため、モバイル通信がうまく機能しない状態になってしまい、一瞬焦ってしまった。
スマホの機種や設定の仕方によってはデュアルSIMとして2つの回線を切り替えて運用することもできるのだと思う。
一旦冷静になり、まずはnano-SIMカードを抜いて、OCN用のプロファイルも削除してから、改めてBIGLOBEモバイル用の設定を進めることで問題なく通信できるようになった。旧SIMカードの抜き忘れというのは、物理的にSIMカードを入れ替えるという行程が無いeSIMならではのミスと言えるだろうから気をつけたいところだ。
取り出したSIMカードは通信会社に郵送で返却した。通信会社にもよるが、多くの場合、SIMカードは契約期間のあいだ貸与されているという位置付けの場合が多いので、契約解除とともに返却するように規定されているところが今のところは多いようだ。
初めて採用してみたeSIMだが、本当に即日発行・即日乗り換えでとても便利がいいと感じた。
Wi-Fiの無いところで通信を使ってみた印象としても違和感なく使用できるし、もちろんテザリングもできるので、外出先でMacBookをインターネット共有して使うことも今まで通り簡単にできている。当たり前の事だが、eSIMでもSIMカードでも通信サービス自体に違いはない。
ひとつ疑問に感じるのは、非物質的なeSIMというシステムが構築できるのであれば今まで何故、物理的なSIMカードなどというものに依存していたのだろうかという点である。私はこのあたりの事情にまったく明るくないので、分かっている人からすればセキュリティ技術などの観点から容易に説明可能なことなのかもしれないが、この数十年間世界中で製造/使用/廃棄されてきた膨大な量のSIMカードが実は無用だったとしたら、それは目眩がするような話でもある。
何にせよ、こういった技術的な手続きや設定については、スマホを日常的に使っていても詳しい訳ではないという人の方が多いと思うので、申し込みから導入まで少しでも簡便に済ますことができるようになっていくのは有難いことである。