kishin 貴真

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20231231

/PHOTOGRAPHTHINK

弥山へ締詣

FUJIFILM X-E1:ASANUMA AUTO-TELE 135mm F2.8:ISO200 f2.8 1/500

いつしか年末恒例の行事となっている厳島は弥山への締詣に行ってきた。

快晴の日、広島市内からのんびりとSTRiDAに乗って1時間半ほどで到着。宮島はすっかりと観光地としての集客が回復しているようで、宮島口付近は賑わい、フェリーへの列は太くうねっていた。

フェリーターミナルをリニューアルしてから毎回感じることだが、フェリー乗船券の自動販売機のUIが最悪すぎて、いつも『乗船客と自転車を往復』でセット購入する方法に迷う。ボタンの表示文言、ボタンの大きさとレイアウト、購入パターンの想定、そうしたデザイン段階で考慮すべき点がことごとくミスっているのが理由なのだが、一度ですっと購入できた試しがない。しかも、やり直す場合に押す「とりけし」ボタンさえも「嘘だろ?」と思う場所に設置されているのがもはや何かの罠としか思えない。

観察しているとほぼ全員が戸惑っている状態なので、今回はとうとう、操作をする係の人が自販機前に登場していた。こうなるともはや “自動販売機” の存在意義はなく軽いジョークの様相を呈しており苦笑いしてしまった。

宮島に渡り自転車置き場にSTRiDAを停めたら、ここからは徒歩で愉しむ。
まずはいつも楽しみにしている安納焼芋を買いに風籟堂 紅葉谷店へ向かう。冷んやりとした空気の中、甘くホックホクの安納焼芋をかじりながら大聖院へと向かい、寺院入口脇からの登山口で日向ぼっこをしている可愛らしいお地蔵様に手を合わせご挨拶をしてから大聖院コースで弥山登山を始める。

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目指すは弥山山頂の展望台‥ではない。そこはロープウェーで登った観光客でごった返していてゆっくり過ごすことはできない雰囲気なので、私は駒が林山頂へと向かう。

ぼちぼち写真を撮りながら無理せずに登っていく。

12月なのでロングコートを着て手袋もしていたが、この日は気温が高めだったこともあり早々に汗をかき始めて、登頂する頃にはすっかりコートを脱いで腕まくりまでしている状態だった。

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この日、駒ヶ林山頂は無人の貸切状態でとても静かだった。

ここからも見える展望台では登山客が多くワサワサしているのがよく分かる。そういう観光地特有の雰囲気が好きな人には良いが、私のように苦手な人間には駒ヶ林山頂の方が居心地が良い。

FUJIFILM X-E1:ASANUMA AUTO-TELE 135mm F2.8:ISO200 f8 1/1600

山頂に広がった岩場に足を投げだして座り、まずは淹れてきた美味しい珈琲をひとくち、ふたくちと愉しむ。その後、海景を眺めながらおにぎりを頬張り、残っていた安納焼芋も食べる。風はほぼなく穏やかで暖かい陽光の中、ぼうっと日向ぼっこをしながら年末のあれやこれやを感じて過ごす。

静かな時を充分に満喫した頃、別の登山客が来たので入れ替わるように下山することにした。

下山時には何故か毎回一度だけ足がズズズッと滑って尻餅をつくように転ぶのだが、今回は初めて無転びで下山できたのが嬉しかった。

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下山してから大聖院を参拝。こういう場所はいつ来ても厳かな気持ちになれてよい。
遍照窟で四国八十八ヶ所お遍路参りをコンパクトに済ませてから街中に戻り、写真を撮りつつぶらぶら歩きながら休憩できる場所に向かう。

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前回宮島に来た時に初めて入ってみたカフェ《Sarasvati》の二階が “穴場” という雰囲気があってとても居心地が良かったので、今回もそこで休憩することにした。ソフトクリームが乗ったコーヒーゼリーとレモンソーダ的なものを注文して二階に上がる。

街中は賑わっているのに、このカフェの二階にはひっそりとした空気が流れ、木の風合いを生かしたインテリアでちょっと田舎の小学校のような別世界的エモさがあって居心地がよい。傾いた陽の光がやさしく射し込む窓際の席でゆっくりと登山の疲れを癒して過ごした。

FUJIFILM X-E1:FUJI PHOTO FILM FUJINON 55mm F1.6:ISO200 f8 1/4000

夕陽が水平線へと迫り完全に美しい頃に復路のフェリーに乗り込む。
今年も宮島での締詣を無事に済ませることができた。特に2023年は時の流れに諸行無常を感じ、メメント・モリを考える年であった。来年はどんな年にできるだろうか、楽しみだ。

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