Holga HL-NのBCエフェクターをフルサイズに適合するように加工してから、Nikon Dfと一緒に近所を散策してみた。なお、仕様上、寄れない60mmのレンズなので、被写体に寄って撮影できるようにHolga Close-up Lens Set『CLS-1』も同時に入手しておいたので、これも活用しながら撮影してみた。
ちなみに、このレンズの最短撮影距離は0.7mで、この状態ではピントの山はなかなか掴みにくいのだが、Close-up Lens CL-250(撮影距離25cm)やCL-120(撮影距離12cm)で寄った場合には、Dfのファインダーでも十分にピントの山が確認できるようになる。
中心付近は結構よく描写していてトイレンズ感はあまり感じられないが、外側に向かうに従って色収差や流れなど色々と破綻しているのはやはりトイレンズである。また、周辺光量落ちは日中の屋外ではさほど悪影響は出ずに程よい感じにおさまっていて安心した。
F8固定の暗いレンズなので、暗い場所で使用する場合には感度を上げることになるが、このレンズの場合はむしろ感度を上げることによるノイズ感が良い味になるので大した問題ではない。問題なのは、よく写りすぎていまいちトイレンズ感が出てこないという点だろう。
特に周辺光量落ちが見えないカットの場合には、RAW現像の色味などでトイ感を演出するしかないように思うのだが、それならば別のレンズでも同じことができるので、トイレンズを使う必要はなくなってくる。
そんなこんなをいろいろと考えているうちに、自分のとりあえずの結論としては、このHolga HL-N 60mm F8は、無理に “トイレンズ” としてその個性を期待して付き合うよりも、28gという異常な軽さに着目して、単純に軽くて持ち運びが苦にならないお散歩用レンズとして付き合うという選択肢もあることに気がついた。無論、描写はそれなりだが、ゆるい気分でその場の空気感を切り取るには十分過ぎる描写をしてくれるのだから。
また、多重露光のような、描写の精密さや解像感がさほど重要ではないような遊びをする専用のレンズとして捉えてしまうというのもアリかなと考えている。
思っていた以上に使い所を悩ませてくるレンズだということがとりあえず分かったので、これから少しずつ試し々々使い所を探りながら、以前のように出番がなくなってしまわないようにしたいと考えている。
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