kishin 貴真

20211215

/PHOTOGRAPH

Holgaのトイレンズをフルサイズで愉しむ Ⅰ

トイカメラで知られているHolgaから10年ほど前に発売された、ニコンの一眼レフカメラで使用できるトイレンズ『HL-N(BC) 60mm F8』を入手して遊んでみることにした。

実は、このトイレンズについては発売当初に入手して使ったことがあったのだが、その時に使用していたカメラはNikon D90というAPS-C機=DXフォーマットであったので、焦点距離も1.5倍の90mmとなってしまい普段使いをしにくい画角であるうえに、ファインダーも元々小さく暗いところにさらにF8のレンズを付けることで真っ暗に近い状態になる始末で、正直に言ってしまうと「遊ぶことさえできないつまらないレンズ」という印象だけを残して殆ど出番が無いままに手放してしまったという経緯がある。

そして、最近何かのきっかけでこのレンズを思い出して、改めて今度はフルサイズのNikon Dfで使ってみようかと思い立った。Dfのファインダーは、D90に比べれば格段に広いし明るいので愉しめるのではないかと考えた次第である。

再び手元に届いたHolga HL-N(BC)を触ってみて蘇ってきたのは “そうそう、このレンズはこんなにもチープな作りだったな” ということ。鏡胴はもちろんのことマウントやレンズまですべてがプラスチック製である。故に恐ろしく軽く、重量はたったの28gしかない。

早速Nikon Dfに取り付けて撮影してみると、想像していた通りの結果が得られた。

HL-N(BC)には周辺光量落ちを再現するために後玉側に『ブラック・コーナー・エフェクター』という円盤状のパーツが取り付けられているのだが、この円盤の中心部に空いた、感光のための光を通す穴の直径はAPS-C機のセンサーサイズに最適化されているため、フルサイズセンサーに対しては小さすぎると想像していたが、その通りの結果となった。

これでは「周辺光量落ち」ではなく盛大な「ケラレ」でしかないので、まずは単純にBCエフェクターを外してみた。そうすることで光はフルサイズセンサーに問題なく届くようになったのだが、そうすると単に “描写の甘いレンズ” でしかなくなってしまうので、やはりBCエフェクターを加工してフルサイズセンサーに対応させることにした。

まずは、BCエフェクターを剥がす。これはボンドで雑に接着されているので円盤の端の一箇所を精密マイナスドライバーで持ち上げてベリッと剥がすという荒技を使う。樹脂製の円盤は薄く簡単に傷がついたり歪んだりするので、ドライバーで持ち上げた箇所は損傷してしまうが、トイレンズなので気にしない。

剥がしたBCエフェクターの中心部周辺にある大小9個の穴をまるっとカッターで切り抜いてしまう。そして、棒ヤスリで削って少しずつ穴を拡大していく。この際、最適な穴のサイズは不明なので、ちょっと拡大してはレンズに仮止めして撮影してみる → 撮影結果を確認して更に穴を拡大する → レンズに仮止めして撮影してみるという作業を何度も繰り返しながら、最終的に程よく周辺光量落ちする穴のサイズは直径6mm程度となり落ち着いた。

この位の周辺光量落ちであれば、程よくトイレンズっぽいし、初期状態に比べて光量も大幅に増えたことによりファインダー像も随分と見やすいものとなった。撮影結果の最終確認をした後、BCエフェクターを再びレンズに接着した。

加工後に早速散歩に持ち出して試し撮りをした画像は次の投稿で何枚か紹介してみようと思うが、このレンズは意外なほど “よく写ってしまう” ので、周辺光量落ちや四隅の流れといった描写の甘さ緩さが顕著に表れないような光環境や被写体の場合にはトイレンズっぽさを感じられない場合も多く、良くも悪くも使い所に悩むレンズである、というのが現状での印象である。

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