20250824

/PHOTOGRAPH

X-E1で長時間露光撮影

FUJIFILM X-E1:FUJINON 50mm F1.4:ISO200 f11 30sec.

汗ばむ夏の日暮れ頃、撮影道具を整えて出掛ける。
海岸沿いのそこを通るたびに「あの小さな灯りが点いてから長時間露光撮影をしたいな」と思っていた場所に向かう。この日、風は穏やかで長時間露光撮影にはちょうど良い。

到着した時にはまだ灯りは点いていなかったので、三脚やNDフィルターなどの準備を整えて待つことにする。今まで、長時間露光撮影はNikon Dfで行なっていたのだが、今回は初めてFUJIFILM X-E1で行ってみることにした。

静かな波音を耳に心地よく聞きながらレンズをFUJINON 50mm F1.4に換えて試し撮りを何度か行なって構図を決めていると、パッと灯りが点いた。ND16とND400フィルターの2枚重ねで30秒ほどの露光時間で撮影する。静かな海に小さな灯りが映えるお気に入りの一枚を撮ることができた。その時の静かな時間を封じ込めるようにちょっと暗めの露出でRaw現像している。

FUJIFILM X-E1:FUJINON 50mm F1.4:ISO400 f16 40sec.

その場所からはしまなみ海道に掛かる橋を眺めることもできる。

橋は夜間にはライトアップされて昼間とは違う表情を見せてくれる。多くの小さな光点があるのでグッと絞り込んで6本の光条が綺麗に出るように撮影してみることにした。空へとにじむ光の印象と相まってちょっとSFっぽい雰囲気の一枚になった。

霧が出ている時や荒波の時などにも撮影してみたらまた違った良さのある写真が撮れそうなので、今後も機会があれば撮りに行ってみたいと感じた構図である。

橋を撮っていると「クォォカァゥ」という聞きなれない鳥の叫びが聞こえてきた。辺りを見回してみると、最初に撮影していた灯りの元に大きめの鳥が胸を張って佇んでいるのが見えた。

まるでスポットライトを浴びて舞台に立つ役者のような佇まいで実に不思議な印象を受けた。

FUJIFILM X-E1:ASANUMA AUTO-TELE 135mm F2.8:ISO640 f11 15sec.

50mmのレンズだとちょっと短く感じたので、ASANUMA AUTO-TELE 135mm F2.8に着け換えて撮影する。じっと止まっているような鳥でも長時間露光だと微妙に動くのがそのままブレとして記録されるので、それをできるだけ回避するために感度と絞りを調整して露光時間を15秒ほどに縮めてから撮影してみる。

鳥氏はしばらくの間、同じ場所に留まったままだったので、数枚撮っては構図を変えたりしながら突如訪れたモデルを被写体として30分ほど撮影していると、不意にまた「クォォカァゥ」という鳴き声が聞こえたかと思うと、ザッと大きな翼を広げて暗い夜空に溶けていった。

まるで撮影されに来たような鳥氏の別れの挨拶を受けて、この日の撮影も終わりにすることにした。汗がしたたる暑さの中にあっても心地の良い豊かなひと時だったと満足しながらSTRiDAを走らせてゆっくりと帰路につく。

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