kishin 貴真

20221020

/PHOTOGRAPH

ミラーレスデビュー 失われた絞り値

FUJIFILM X-E1 + M42−FXマウントアダプター + YASHICA AUTO YASHINON-DX 50mm F1.7

相変わらずNikon Dfで不便なオールドレンズを使って撮影する愉しさを満喫している。その流れで入手したいくつかのオールドレンズが様々な理由からDfでは使えずに残念な思いをしていたのだが、これを機に一台、ミラーレス一眼を購入してしまうのも良いかと考えた。

自分がミラーレス一眼を使うなら、メーカーは絶対にFUJIFILMになるだろうと感じていた。
理由は明快で、FUJIFILMのミラーレス一眼のプロダクトデザインがとても好みだから。特にクラシカルなレンジファインダーカメラっぽさを纏ったX-Eシリーズは、その製品写真を目にする度に「やっぱりコレがいいなぁ」と思っていた。

X-Eシリーズは現在までにX-E4まで発売されているが、MFレンズしか所有しておらず、超高画素数も高速連写もワイヤレス機能も求めていない私には最新機種は宝の持ち腐れにも程がある。そこで、型落ちのモデルを中古で探してみると想像以上に安く入手できることが分かった。

結局辿り着いたのはFUJIFILM X-E1のブラックモデル。
発売は2012年なので、ちょうど10年前のモデルということになるが、スペックを確認してみると私が必要としている要件は満たしていたので、状態の良さそうな中古美品を入手した。

実はミラーレス一眼にはちょっとした不安があった。それは以前、家電量販店に行って展示されている幾つかのミラーレス一眼の電子ビューファインダーを試しに覗いてみた時に感じた “見えにくさ” や “不自然さ” である。こんな見え方では撮影していても全然楽しくないだろうと思って、それ以来、ミラーレス一眼というものに興味を持つことはなかった。

今回も、この点だけは実物を手にするまで不安であった。

そして到着したX-E1のEVFを覗いて見た時には心底がっかりした。ギラギラしていて見ていて心地よくないので「やはりダメだったか」と思ったのだが、そのあと、カメラの設定を進めていると『MFアシスト』という項目があり「フォーカスピーキング」という機能をOFFにしたところ、不快だった “ピントが合っている部分のギラギラ感” が無くなってとても心地良くなった。なるほど、そういうことだったのかと理解した。フォーカスピーキングは機能としては便利なのだろうが、一眼レフに慣れている身としてはやはりシャープでクリーンな合焦点とスムースなボケが自然な見え方で見えている方が気分が良いのだ。
これに加え、一部を拡大して確認できる『フォーカスチェック』機能も軽快に動作するので、MFレンズでもピント合わせに全く不都合が無いことが分かって、X-E1を選んでよかった。

まだ慣れないので撮影の際にはモタついてしまうが、M42→FXやNikonF→FXのマウントアダプターを介してオールドレンズで撮影していても特に問題はなく愉しく撮影できている。
ただ一点の不満を除いては。

それは、撮影した画像のEXIFデータに絞り値が記録されないこと。

もちろん、電子接点を備えた近代のレンズを使えば撮影時の絞り値は記録されるのだろうが、マウントアダプターを介したオールドレンズの撮影では、絞り値は全て「f / 1.0」となってしまう。

電子接点を持たないマウントアダプターなのでレンズの絞り設定がカメラに伝わらないのは仕方のないことである。だから、自動で記録してほしいとは思わない。望むのはNikon Dfでオールドレンズを使う時のように、レンズの絞り値を手動で設定するのと同時に、カメラ側の絞り値もそれに合わせて手動で設定すると、その値がEXIF情報として画像ファイルに記録されたらよいのにということである。

X-E1にはカスタマイズ可能なFnボタンがあるので、このFnボタンに割り当てられる機能として例えば『レンズなしレリーズ時の絞り値』というものが用意されて、f1.2/f1.4/f1.8/f2.0/f2.8/f4.0/f5.6…というリストから撮影時に選択した絞り値がEXIF情報に記録される、それだけで良いのでファームウェアのアップデートで対応して貰えないだろうかと、FUJIFILMに要望を送ってはみたが、10年前のモデルへの対応はきっと難しいだろう。しかし、マウントアダプターを介してオールドレンズを楽しむユーザーが増えている昨今、こうした機能追加は決して無駄ではなく、むしろ痒いところに手が届く素敵な機能だと、私には思える。

FUJIFILM X-E1:AUTO YASHINON-DX 50mm F1.7:ISO200 f8 1/200

FUJIFILM X-E1:Super-Takumar 28mm F3.5:ISO200 f8 1/320

FUJIFILM X-E1:Super-Takumar 28mm F3.5:ISO200 f5.6 1/1000

FUJIFILM X-E1:Super-Takumar 28mm F3.5:ISO200 f4 1/200

デジタル写真撮影の醍醐味として、単に撮影して「はい終わり」ではなく、撮影した写真をパソコンなどで見て・観察して・考察して、「感度を上げてシャッタースピードを速くすればブレを防げたか」とか「もうちょっと絞りを開いた方が雰囲気が出たかも」などと後で思いを巡らせることで、少しずつ撮影の腕が上がったり、勘が良くなったり、撮影行為そのものの深みが増していったりすると思うので、撮影された画像のEXIF情報もそうしたことを後押しするための貴重な情報なのである。

なお、装着レンズの焦点距離については『マウントアダプター設定』で設定した「55mm」などがEXIF情報に記録されるので、レンズの交換時に適切に設定さえしておけば、パソコンに読み込んだ後に「55mmレンズの写真だけ絞り込んで検索」するなども容易に行えてこれは良い。

FUJIFILM X-E1:AUTO YASHINON-DS 50mm F1.9:ISO200 f2.8 1/2000

一眼レフカメラの40数mmというフランジバックとは比較にならない17.7mmという短いフランジバック設計のおかげで、マウントアダプターさえ入手すれば、FマウントのNikkorでも、M42マウントのTakumarやYashinonでも、L39マウントのFED Industarなど旧ソ連のレンズでも使えるので実に悩ましくて愉しい。APS-Cなので焦点距離が1.5倍になってしまうという問題はあるものの、イメージサークル中央付近の美味しい部分だけを使い、周辺減光も起こりにくいとポジティブに考えればまぁ納得もできる。

私の中でNikon Dfの存在は別格なので今後もこれがメイン機であることに変わりはないのだが、今後はミラーレスのFUJIFILM X-E1も軽快に持ち出して、肩肘張らずに撮影を、写真を、もっと愉しみたいと思っている。

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