20220826

/PHOTOGRAPH

TakumarとNikon Df〈Ⅰ〉

Nikon Df:Asahi Opt. Super-Multi-Coated MACRO-TAKUMAR 50mm F4:ISO800 f4 1/60

最近、Nikkor以外のオールドレンズに関する情報を色々と関心を持って見ているうちに、「M42マウント」「ミラーレス一眼」「フランジバック」「マウントアダプター」といったキーワードで何となく辿り着いた旭光学工業の “タクマー” なる半世紀ほど前のM42マウント仕様のオールドレンズが人気だそうで、少し興味を持った。作例として紹介されている数多の写真の空気感が好みで「このレンズを使ってみたい」と素直に感じた。

この “タクマー” という響きだけはなんとなく聞いたことがあったのだが今までは特に意識にひっかかることもなくスルーしていた。今回、色々と調べている内に何故スルーしていたのか、その理由が分かった。それは、自分がNikonの一眼レフユーザーだったからである。

細かいことは抜きにして少々乱暴に云ってしまえば、「M42マウントを持ったオールドレンズは、フランジバックの問題でニコンの一眼レフカメラでは使えない」からである。だから、Nikon Dfに関する情報を今まで散々調べたりしていても、M42マウントを持ったこのタクマーというレンズを扱った情報に辿り着かなかったのだろう。

前述で「使えない」と書いたが、厳密に云うと、以下のような問題がある。
◉無限遠が出ない
◉焦点位置が近くにしか合わないため実用では使い勝手が悪い/制限される
◉無限遠を出すために補正レンズ入りのマウントアダプターを利用するとレンズ本来の描写が失われる可能性がある
◉測光や露出についてはフルマニュアルになる
◉レンズによっては絞れずに開放撮影のみになる場合もある

そういった不完全な状態を覚悟すれば全く使えないということでもないのだが、そこまでして敢えてこうしたレンズを使おうという奇特なニコンユーザーはあまりいないというのが現実なのだろう。逆にいえば、カメラの各種オート機能に頼らないフルマニュアルでの撮影を楽しめるスキルがあるのなら、不便なこの構成も選択肢に入れる価値はあると感じた。

というわけで、道の無さそうな所を鼻歌まじりにスキップしながら行きたいのが私である。

M42→Fマウント変換アダプター:[左]補正レンズ無し/[右]補正レンズ付き

中古のAsahi Opt. SMC Takumar 55mm F1.8と、それをNikon Dfに装着するためのマウントアダプター2種を早速入手してみることにした。マウントアダプターは、補正レンズ無しで素通しのタイプと、無限遠を出すための補正レンズ入りタイプの2種類である。お遊び感覚のつもりなので、とりあえずはメーカーも不明なアダプター2種類を合計1,520円で購入した。

SMC Takumar 55mm F1.8は、前玉にカビがあるという要整備品を1,800円程度で入手したのだが、届いてみれば菌糸がさほど発達していないちょっとしたカビだったので、銘板を外して前玉を取り出してササッと無水エタノールで洗浄し、レンズペーパーで磨き上げたら見事にキレイな光学系に蘇ってくれた。外装も微細な傷だけで、非常にお得な買い物であった。

Nikon Df:Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S:ISO200 f4 1/250

金属鏡筒でコンパクトながらもどっしりとした手応えに、昨今の樹脂ボディからは得難い “物質としての量感” があって、もうこの触感だけで嬉しい気分になってしまう。

Nikon Df:Asahi Opt. SMC Takumar 55mm F1.8:ISO200 f2.8 1/2500

クリーニング後に早速、まずは補正レンズ無しのマウントアダプターを介してNikon Dfに装着して、窓際で揺れているティランジアを撮ってみた。絞り開放は個性的すぎるほどに柔らかいが、ちょっと絞ると途端にシャープになりボケ味に不自然さも感じない、とても良い印象。色乗りについてはRAW現像で若干彩度を落とす必要があるくらいに良い発色なのは意外だった。

Nikon Df:Asahi Opt. SMC Takumar 55mm F1.8:ISO100 f2.8 1/800

Nikon Df:Asahi Opt. SMC Takumar 55mm F1.8:ISO800 f1.8 1/1000

TakumarをNikon Dfで使用するにはいろいろと障害もあるが、むしろ障害があるからこその面白さというものを感じられるままでいたいなと思う。

SMC Takumar 55mmを試してみて、Dfで使えるかどうかという基本的な部分が確認できたので、さらにTakumarを愉しむために、28mm、35mm、Macro 50mm、55mm [Zebra]、135mm、200mmのタクマーも入手してしまった。希少価値で値が上がっているAuto-Takumar 55mm F1.8 [Zebra]を除けば、これらのレンズはどれも極めて安価で入手できてしまうのがありがたい。また、これらの単焦点レンズは構造がシンプルで分解もしやすく、少々状態の悪い物でも自分の手でメンテナンスをして蘇らせられるというのも、趣味の道具としての愉しさを増してくれるひとつの要因だと云える。

今回入手した様々な画角のTakumarだが、それぞれ同じようなタイプのNikkorレンズも所有しているので、今後は「今日はニッコールにするか」、「今日はタクマーを持って出かけよう」、という感じで愉しんでみたいと思っている。

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