この日はバスで加世田から鹿児島中央に戻る。都会と違って一日に発着するバスの本数も限られているので、生活や行動をバスの発車時刻に合わせて調整しなければならないのだが、そういう思考パターンは田舎育ちなので御手の物だったりする。
バスの発着場に早めに到着したので周辺を散策し、日向ぼっこをしている仔猫さんと遊んだり、振り向きざまに猫さんに睨まれたり、準備中の猫さんを撫でたりしながらバスの到着を待つ。
鹿児島中央に到着してまずは長島美術館に向かったが、その途中にある『& COFFEE』に立ち寄って休憩した。ここではグアテマラ豆の珈琲をいただいたがとても美味しく、一緒に注文したゴーダチーズケーキもしっとり濃厚でとても好みの味だった。近所に住んでいたなら、絶対にテイクアウトの常連になっていたことだろう。
その後、到着した『長島美術館』は初めて訪れる場所だと思っていたのだが、現地で庭園の彫刻や建物を見て気がついた ─ 7年前にも来ていた。美術館の名前や場所は忘れていたが、作品や建物は記憶していた。
ここで展示されているマルク・シャガールの〈花嫁と花束〉や、マリー・ローランサンの〈女王〉はとても魅力的である。シャガールやローランサンの作品にはこれまであまり魅力を感じてこなかったのだが、この2作品は、それぞれの作家の一般的なイメージとは少々毛色が異なる作品で、完成度も高く、強く惹かれる作品だと感じた。
途中休憩も挟みながら、鹿児島中央駅付近のカフェを見て回った。
『momoyori』というカフェに向かうとき、最後の数十mで場所が分からず迷ってしまったのだが、背後でカラスが妙な鳴き方をしていたので振り返ってみたら、通り過ぎた足元に案内用の小さな黒板が置いてあるのを発見した。親切なカラスさんに助けられて、カフェに辿り着くことができた。
そこはとってもクリエイティブかつクリーンでありながらも優しい雰囲気漂う場所で、旅程最後のカフェがここで良かったなぁとしみじみと考えながら焼酎パウンドケーキを食べてくつろいだ。あとで知ったのだが、日によっては猫さんが居るカフェらしい…この日は居なかったのは残念だった。
その後、銭湯『霧島温泉』でちょっと熱めの湯船とサウナで汗を流してのんびりリフレッシュし、居心地の良すぎる寿司屋『いづろ 司すし』で美味しい夕食を愉しんでから、広島行き最終の新幹線に乗り込んだ。