kishin 貴真

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20211008

/PHOTOGRAPH

クローズアップレンズを嗜む

Nikon Df:NIKKOR-S Auto 55mm F1.2 + Kenko AC CLOSE-UP No.4:ISO200 f1.2 1/4000

被写体に近づいて近距離で撮影できる設計になっているマクロレンズは便利だけれど、全てのレンズがマクロレンズであるはずもなく、それでも手持ちのレンズで突然に接近して撮影したい被写体に遭遇することもある。

そんな時に、カバンに放り込んでおくと大活躍してくれるのがクローズアップレンズである。1枚あるいは1群2枚構成のシンプルなレンズで、一見するとコンパクトな拡大鏡のようだが、カメラレンズ用の各種フィルターと同じようにレンズの前玉側にねじ込んで装着して撮影することで、文字通り被写体をクローズアップして撮影できるようになる便利なアイテムだ。

Nikon Df:NIKKOR-S Auto 55mm F1.2 + Kenko AC CLOSE-UP No.4:ISO100 f4 1/250

世界は見過ごしてしまう表情で溢れている。

何気なく歩いていると多くのものを認識することなく通り過ぎていくが、じっくりと観察しながら歩いてみると意外な表情に出会えることも珍しくはないのが世界というやつだ。カメラをぶら下げて散歩をした経験があればきっとそうした感覚は理解できるだろう。であれば、より深く見えていない表情を引き出すことができるツール、それがクローズアップレンズである。

見慣れている、知っている、取るに足りない、と思い込んでしまっているものを “はじめまして” に変えてくれる素敵なツールであると私には思われる。

Nikon Df:NIKKOR-S Auto 55mm F1.2 + Kenko AC CLOSE-UP No.4:ISO100 f4 1/800

途中、クリオネに邪魔されたりしながらもクローズアップレンズを楽しむ。

クローズアップレンズの良いところは、他のフィルター同様に、レンズ径さえ合えば手持ちのレンズで共用できるところ。だから、この記事の写真のように52mm径のNIKKOR-S Auto 55mm F1.2からKenko MC SOFT 45mm F4.5にレンズを付け替えても、クローズアップレンズは1枚持っていればよい。また、装着すると光量が落ちて暗くなってしまう接写リングとは違って、基本的に光量は変わらない点も非常に使い勝手が良い。

Nikon Df:Kenko MC SOFT 45mm F4.5 + Kenko AC CLOSE-UP No.4:ISO100 f5 1/640

特にオールドニッコールなどのような古いレンズでは最短撮影距離が長いものも少なくないので、好みの距離感のクローズアップレンズを1~2種類携帯していると、被写体に出会った時に撮れずに諦めるということにならずに済むのでおすすめである。私はKenkoのAC CLOSE-UP No.4とMC CLOSE-UP No.2を所有しているが、特にACタイプの方は画質には全くと言っていいほど影響を与えない印象で高く評価できる。

高機能かつ高価な専用設計のマクロレンズに比べれば気軽に入手できる価格のクローズアップレンズで、ちょっとだけ撮影の幅を広げてみると、撮る行為がさらにワクワクするものになり、愛用のレンズが持つ可能性への気づきとそして愛着もきっと深まるだろう。

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