kishin 貴真

20210711

/THINK

ヘリノックスじゃない方

DesertFoxアウトドアチェア ストライダ

ある時、気がついた。読書は、室内ではなく太陽光の下での方が遥かにはかどる。おそらくは光量か或いはその成分が理由なのだろうが、人工光の下だとある程度の時間読んでいると睡魔がぬるりと忍び寄ってくるのだが、陽光の中では不思議とそれがない。

そう遠くに足を運ぶまでもなく近所でも、芝生や木陰などがあり、静かでひらけた空間でのんびり過ごせそうな場所を見つけてはランチなど食べながら小一時間ほど読書にふけるというのは心地良い。そうした習慣のなかでふと思いついて入手してみたのがアウトドアチェアである。

DesertFoxアウトドアチェア STRiDA

組み立て式でコンパクトなチェアになり、バラして収納すればSTRiDAの小さなキャリアにも積める程の小ささ軽さになるのがとてもイイ。重量は1kgほどで、扱いに慣れれば組み立て/バラし共に80秒程度と大した時間がかからないようによく考えられた設計となっている。

このタイプの形状のアウトドアチェアとしては、Helinoxというブランドのチェアワンという製品が “本物・本家” らしく1万円オーバーの価格となっているのだが、私の場合には、道具として想定用途で機能してくれれば十分だし、費用対効果を考慮せず “ブランド名” にお金を払うほどの気前の良さも無いので、製品の用途・品質と価格のバランスが見合っていると感じたDesertFoxというブランドの《Folding Chair DF-02》を選んでみた。2,700円程度なので、価格としては “本物” の1/4以下である。

DesertFoxアウトドアチェア

キャンプ用品には疎いのだが、実際に手に取ってみると非常に良くできていて感心した。
価格から想像されるよりもずっとしっかりとした作りになっている。

初めての組み立てでも全く迷うことなく完了したし、座った感じも良好で、腰痛持ちの私は柔らかいソファでは30分以上は腰が痛くなってしまって座っていられなくなるのだが、このアウトドアチェアだと適度に包まれる感じで、優に1時間を超えてのんびり座って読書ができるのでとても気に入っている。

DesertFoxアウトドアチェア

また、大抵のHelinoxタイプのコピー品は、Helinox同様にパイプの結合部分は樹脂製となっているのだが、私が選んだものは構造に樹脂を使わずアルミパイプを貫く形の設計になっていて、よりシンプルで潔い印象となっていて、この点でも気に入っている。主軸のパイプが赤になっているのも差し色でGood。

価格ではHelinoxの1/4以下であるが、屋外で10回前後使ってみた感想としては、座り心地や性能的にはこれ以上望むことはないので、唯一気がかりなのが耐久性ということになるだろう。現時点では、破れそうだとか折れそうだといった不安は感じてはいないが、果たしてどうだろうか。こればかりは時間の経過だけが答えの在り処に導いてくれる。

ただ、今後の耐久性がどうあれ、安価なため、既に価格分は回収できている気もするし、そういう心持ちが気楽な感じも含めて、DesertFoxのアウトドアチェアはお勧めできる。

コピー品でも使ってみると想像よりもずっと良かったので、それでは本家Helinoxの製品はどれほど素晴らしいのかと気になったので、アウトドアショップに偵察に行ってみた。

Helinoxのチェアワンの実物は、まず布の素材感が厚く座った印象もしっかりと支えてくれる安定感があるが、逆に張りがしっかりし過ぎていて包み込まれる感じは無い。私は、自分が購入したコピー品の方が包み込まれる感じが “お尻一個分のハンモック” のような印象で好みである。この点は好みで評価が分かれそう。骨組みの剛性とバランス性能は非常に高い印象でこの点は明らかに価格の差が出ているようだ。細かい部分の加工精度の高さと美しさや、軽く触った印象から耐久性も高いだろうことは伺い知ることができる。また、収納ケースのデザインや質感も高くて、なるほどHelinoxは値付けが適正かどうかはともかくとして、所有欲を満たす満足度の高い製品であることは確かなようだ。

世界には二つの場所しかない。居心地の良い場所とそうでない場所である。

けれど、居心地の良くない場所もちょっとした工夫次第では居心地の良い場所に変えることもできうるというのが面白いところである。

居心地の良い場所というのは自分で作るものなのだ。

ほんの少しだけ道具を足してみる、音や光や匂いのバランスを変えてみる、ちょっとだけ環境を整えてみる、自分の心持ちを変えてみる、そんな些細に思えることに想像力と創造性を発揮することで、世界の感じ方がずっと爽快になったり経験が豊かになったりする、そういう相対性/流体性こそがこの世界の興味深さの真髄なのである。