kishin 貴真

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20191018

/OTHERSPHOTOGRAPH

宮島の宮島じゃない方

Nikon Df:Voigtländer ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical:ISO100 f2.8 1/4000

広島に住みついてから宮島へは何度も訪れている。いつもはJRか路面電車で宮島口まで行き、フェリーで宮島に渡ってからは、徒歩で歩き回ったり、弥山に登ったりするのがパターンだったのだが、今回はいつもと違った動きをしてみようと、STRiDAを同行させてみることにした。

輪行バッグにSTRiDAを入れて広島駅から広電に乗り込み、1時間ほどで『広電宮島口』に到着。
早速STRiDAを取り出して、フェリーに乗る前に駅周辺で準備を整える。

この日は飲食店など何もないであろう辺鄙な場所に行くつもりだったので昼食を調達しておく。まずはフェリー乗り場近くにある『エッフェル』というパン屋で山賊焼きを2個買う。ここの山賊焼き ─ 旨味タレを絡めて焼いた串刺しチキンが大好物で、宮島に来る度に必ず購入している。そして、コンビニでおにぎりも2個購入して準備完了。ドリンクは宮島に渡ってから買えば良い。

宮島フェリーに自転車を乗せる場合、人間の乗船料+100円となるので窓口でチケットを購入。
ちなみに復路は、宮島側で輪行バッグにSTRiDAを入れて乗船したため、特に別料金は必要なかった。

STRiDA純正の輪行袋〈ST-BB-002〉は、作りがしっかりしていて安心感があるのだが、ネットでは「一度広げてしまうと、収納できなくなる。」という意見が散見される。折り畳んだ際に収納する収納袋が本体側面に固定されているのだが、この収納部のサイズがジャストサイズすぎて、無駄無くうまく折り畳まないと収まらないのが理由である。そこで、収納手順を載せておくことにする。

① 収納部が裏側になるように広げる。この際、収納部のファスナーは開けて広げておく。
② 凹凸がある側を袋本体の内側に差し込むように折りたたむ。
③ 持ち手のある側も折り畳み、全体が収納部と同じくらいの細さになるよう調整する。
④ 本体を端から折り畳んでいき、開いた収納部に収まるサイズにする。
⑤ 収納部を半折りにし、噛まないように慎重に三辺のファスナーを閉じて、完了。

宮島でフェリーから降りると、ほぼ全ての観光客は右方向に向かう。いわゆる “宮島観光” の見どころスポットは全てそちら側に集中しているからである。しかし私は今回、STRiDAにまたがり逆方面 ─ 島の北側に向かい、宮島の “宮島じゃない方” を探索する。目的地は浜辺の小さな神社『鷹巣浦神社』である。

この日、有名な大鳥居は改修中で、その雄大な姿を拝むことはできない状態となっていたが、宮島の “宮島じゃない方” に向かうとすぐの所にも海に臨む小さな鳥居(記事冒頭の鳥居写真)があるので、大鳥居の改修中はこの鳥居でなんとか誤魔化そう。

Nikon Df:Voigtländer ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical:ISO100 f4 1/640

観光地からは距離をとったほのぼのとした雰囲気の中をSTRiDAでゆらりと進む。

途中には、今は使われていないような桟橋があったり、季節外れで人気の無い(たっぷりの鹿と数匹の猫は居る)キャンプ場もあり、この辺りまでは民家なども存在しているのだが、キャンプ場を過ぎると林道に入っていくことになり、アップダウンの多い道となる。街乗り前提の小径自転車であるSTRiDAで行くような場所ではないのだが、特に急ぐでもないので、虫や鳥たちの声を聞きながら一歩々々歩いて登ったり、STRiDAに乗って滑り降りたりを繰り返す道のりとなる。

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8:ISO400 f8 1/1000

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8:ISO100 f8 1/320

その途中には、ちょっとした光景を眺められる開けた場所があったり、断崖絶壁から遠方の島々を見事な空気遠近法で見渡すことができたりと、歩き疲れの合間に一息つける場所もちらほらと点在している。

そうこうしている内に目的地の『鷹巣浦神社』に到着した。
海を見つめ浜辺にポツンと佇んでいるその御姿はなんだかとても神秘的。

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8:ISO100 f2.8 1/3200

場所的に、もっと風雨に晒されてひどい状態で放置されている神社なのかと想像していたのだが、思いの外、きちんと手入れがなされており、住民の方々が大切にしているのが感じられる神社であった。

Nikon Df:Voigtländer ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical:ISO400 f2 1/2500

南中もとうに過ぎすっかりと空腹になっていたので、神社さんの石段に腰を掛けさせてもらい、山賊焼きとおにぎりで腹ごしらえをしつつ休憩をとった。ここは見晴らしも大変よく、空気の流れも澄んだ場所であると感じたのは、そこに神社があるからだろうか。或いは、そういう場所だからこそ神社が建立されたのであろうか。

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8 + Kenko PRO1D R72:ISO400 f11 105s

休憩後には、三脚を立て、NDフィルターを重ね付けしての長時間露光撮影や、R72フィルターを使っての赤外撮影をゆっくりと楽しんだ。観光地宮島とは思えないのんびりとした時の流れがとても心地よく、大いにリフレッシュすることができた。

Nikon Df:Voigtländer ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical:ISO3200 f2 1/200

Nikon Df:Voigtländer ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical:ISO200 f4 1/40

陽が傾いて帰路につく中、道に落ちた真っ赤な葉っぱや、宮島を離れるフェリー上から燃えるような夕陽を眺めながら「次は紅葉の季節に来よう」とぼんやり思うのである。

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