kishin 貴真

20190814

/PHOTOGRAPH

眠れぬ夜の星景撮影

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8 + Kenko Starry Night:ISO2500 f2.8 30s

陽が沈んでもなお暑さが残り寝苦しい季節の只中にある。

それならば眠らなければ良いと考え夕刻に空を見上げてみると、ちょうど雲が無い。この数週間、雲の無い空を待っていたのには理由がある。6月に注文しておいたKenkoの〈星景・夜景撮影用フィルター STARRY NIGHT〉が先月末に到着していたので、雲の無い日に星空を撮りに出かけたくてうずうずしていたのだ。

その日がようやく訪れた。

星景撮影は先入観で敷居が高そうだと思い試したことがなかったのだが、4月に発売されたこのスターリーナイトの記事を目にしてから、意外と近場でも、そして所有している機材でも十分に楽しめることを知ってから興味を持ち始めていた。

そこで早速、6月にスターリーナイトを注文したのだが、このフィルターはメーカーさえも予想していなかった程の大きな需要があったらしく、すでに品切れ・生産待ちの状態になっており、2ヶ月程待ってようやく手元に届いた。

もちろん、このフィルターが無くても星景撮影は楽しめるはずなのだが、夜通し街明かりが途絶えることのない地域で撮影するためにはこうした光害カットフィルターは重宝するだろうことは星景撮影の経験がなくても分かることなので初めから用意しておいた。なにより、発売早々から品薄状態が続いているという事実が、このスターリーナイトの有用性を証明しているといっても過言ではないだろう。

この日は満月の2日前。月はまばゆく光り、星景撮影には向いていない明るい夜であった。
月が地平に姿を隠して暗さが増すまでの間、スターリーナイトの効果を試しながらのんびり撮影してみた。

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8:ISO400 f5.6 30s

スターリーナイトの効果は歴然で、フィルター未使用では地上からのもやもやとした光がぼんやりと空に霞がかるように広がっているのに対して、スターリーナイト使用時にはそうした街明かりがかなり軽減されて空のクリアさや青い深みが感じられる。無論、すべての街明かりを除去できる訳ではないが、かなり良い感じで光害が整理される印象。そのため、撮影後のRAW現像でホワイトバランスを調整する際にもかなり自然な色彩バランスとなっており扱いやすいと感じた。

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8 + Kenko Starry Night & MC Pro Softon(A):ISO1600 f2.8 30s

スターリーナイトだけでは星の一粒々々が小さいので、それらを強調するために光を美しく滲ませるソフト効果フィルター〈MC PRO SOFTON (A)〉も併用した例。

真夜中の三時。肉眼では明るい星が6~7個確認できる程度であり、山は完全にシルエットとして重くのしかかってくるような光環境でも、感度を上げ長時間露光をすることで、これだけの星たちの姿を捉えることができるという事実にはちょっとした感動をおぼえる。

そこに存在しているからといって必ずしも見えているとは限らないのが世界である。
“見る” ことと “認識” することは似て非なるものであると知ることは極めて重要なのである。

星景撮影は、愉しい。

Nikon Df:NIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8 + Kenko Starry Night & MC Pro Softon(A):ISO2000 f2.8 30s

プロソフトンを併用すると、画面全域でソフト効果がかかってしまうのは注意すべき点だと分かった。星たちはふわっと素敵に写るのだが、街明かりなども構図に入れるとその光源まで滲んでしまうため、ピンぼけ写真のようなちょっと冴えない仕上がりとなってしまう。

その対応として上の写真では、星空の部分はプロソフトンを使用した画像を使用し、山の稜線より下部ではプロソフトン無しで撮影したシャープな画像を合成することで成立させている。仕上がりをイメージしながら現場でフィルターの着脱をしつつ別バリエーションを撮影しておくのも星景写真を楽しむための有用な方法であると感じた。

この日、計らずも流星が多発する日だったらしく、撮影の間、数え切れない程の流れ星を見ることができたのも嬉しい出来事であった。特に、強烈に明るい光とともにパスゥッ!と音が鳴ったのには驚いた。後で調べて分かったことだが、稀に音(正確には音波ではなく電磁波)を伴う流星というものもあるらしく、それを体験できたのは貴重だ。

現在のところ、星に関しては全く知識がないのだが、星景撮影の面白さがちょっと分かったので、少しずつ季節の星座や天の川の方角なども調べながら、新月の頃に夜な夜なふらりと撮影に出かけてみるというのも趣味のひとつとして悪くはないなと考えている。

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