1月23日から開催する個展のために図録を小部数だけ作ってみた。以前、ものは試しにと、制作している塑像の記録写真をコンテンツとしたフォトブックを作ってみたことがあるのだが、その延長線上で今回は、個展に展示する平面作品/塑像/写真と四行詩/ボードゲームなどを掲載した文庫本サイズのフォトブックを個展の図録という位置付けで作ってみた。
小さな個展で図録を作る人なんて居そうにないし、自分が過去に観に行った数多くの個展でもそうしたものを見たことは皆無なのだが、他人がどうであるかは私の判断には影響しない。自分が面白そうだと思ったらとりあえずやってみる、という方が人生は豊かになると信じている。
今回も『しまうまプリント』を利用しているので、大きな美術館の展覧会で公式に制作されるような高価で高品質なものとは比べるべくもないが、個展の展示内容を踏まえて誌面を編集しながら文章を調整したり加筆したり、逆輸入的に展示作品の構成や展開の方に手を加えて変えてみたりと、なかなか愉しい作業であった。
前回フォトブックを制作した際には、しまうまプリントにおける画像の配置や文字の扱い方などといった仕様自体を理解するところから始めたため、誌面編集とは関係のない無駄なやり直し作業などのストレスがあったのだが、今回は純粋に誌面づくりにだけ注力できたので愉しかった。やはり “何事も未来の自分には役に立つ” ものだと、こういう時には特に感じて、経験しておいてくれた過去の自分に感謝する。
11部を発注して、そのうち1部は自由に閲覧できるSAMPLEとして会場に置いておくので、興味がある人は手にとって見てもらえたらと思う。文庫本サイズなので見た目はコンパクトだが、72ページ構成で意外と見応えがあるので、会場に設置する予定の白いフカフカ作業椅子にでも座ってゆっくりと見てもらえればよいだろう。
ちなみにこの作業椅子は、普段から塑像制作の際などに実際に使用しているもので座り心地が良くて気に入っている。キャスター付きなので、座ったままで微妙に体の位置を移動したり視点を変えたりしたい時などには特に役に立ってくれている相棒である。
昨年8月の時点で、来春に《貴真 個展 〜捨象主義から塑像へつながる〜》を開くと決めて会場となるgallery718を予約した時には「随分と先だよなぁ」と感じていたものだが、気がつけばもうすぐそこまで来ている。
納品された文庫本サイズの図録を個包装にしたり、各作品に添える展示パネルを作ったり、会場でループさせて流すためのいくつかの動画を編集したり、このタイミングで展示に追加することにした新作用に額縁を選定・発注したり、塑像用の展示台の天板を新たに制作したり、搬入/搬出のためのレンタカーを手配したりと、滞りなく個展を開催するための準備は日々着々と進行中である。