昼時に近づくにつれて来訪客も増えてきてワサワサし始めたので、混雑を避けるように奥の方へと向かってみる。場所によってはまだ紅葉の進みがまばらで、緑・黄色・赤の競演がむしろ美しく魅力的な表情を見せているところもあった。
一様に真っ赤な紅葉よりも、私はむしろこうした色付きの方が好みだなぁと感じながら季節の移り変わりの妙を愉しむ。
人もおらず光もあまり射し込まないような裏側には、ちょっと妖しい気配があって、ついつい “何か” をじぃっと見つめてしまう。八百万の神だとか妖怪だとかがすうっと現れて眼が合ったとしても、こんな雰囲気の中ならばあまりにも似付かわしすぎて驚いたりすることもなさそうだ。
佛通寺は初めて訪れたが、紅葉の季節には目に飛び込んでくる景色は雅びに鮮やかで、立地がそうさせるのかゆったりと流れている空気も良かった。
人出が多くてワサワサしてしまうのと、昨今の時世の影響でライトアップが中止となっている点は残念だがそれは仕方のないことだろう。車で行くと通行規制があったり駐車場が埋まっていたりして傍から見ていても大変そうだが、自転車でサイクリング気分でのんびり行くには悪くない場所である。来週半ばくらいまでは紅葉の見頃は続くようなので時間をとれれば再訪して、次は寺ならではの『坐禅体験』などもしてみようかと思っている。