kishin 貴真

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20190706

/PHOTOGRAPH

Macro TELEPLUS MC7の使い勝手が良すぎる

Kenko NA Macro TELEPLUS MC7

手持ちレンズの焦点距離を手軽に伸ばすことができるアイテム “テレコンバーター” というものの存在は知ってはいたものの、メーカー/機種問わず、この類のものは画質が劣化するというレビューが多いため、なかなか使ってみようという気にはならなかったのだが、どの程度の画質劣化なのかふと気になったので実際に試してみた。

最初に入手したのは、ニコンの2倍テレコンバーター TC-200。
かなり古い機種なので、最近のテレコンバーターとは画質は全く異なることは想像できるのだが、オールドニッコールとも併用することを考えるとこのくらいの年代のものでとりあえず安価に試してみるのがちょうど良いだろうと考えた。

TC-200にAi NIKKOR Auto 200mm F4を装着して、400mmで撮影してみた。
最初の1ショットを確認してなるほど、合焦点にキレが全く無い。三脚にセットして、ライブビューで拡大して精密にピント合わせをしても印象は同じなので、これがTC-200の限界なのだろうと判断。私的には、この画質は許容範囲外なので、その後使うことは一度もなかった。

このTC-200の画質に関してネットでレビューを調べてみたところ、やはりそういった評価が一般的なようだが、その情報収集の中で、ニコン純正ではない別のテレコンバーターに興味を持った。

Kenko NA Macro TELEPLUS MC7:ヘリコイド

Kenko NA Macro TELEPLUS MC7という、2倍テレコンバーターなのにヘリコイドを搭載していてマクロ撮影も可能というちょっとマニアックな仕様のレンズ。変態的だけれど、画質の評価は高く、これは使ってみたいと感じた。

早速、状態の良さそうなものを中古で入手。

鏡胴の目盛りに採用されている彩色が素敵で、上段はアジュアブルーっぽい青色、下段はベージュになっており、Nikon純正のレンズばかり見慣れていると、その彩色にちょっとしたオシャレさを感じる。

手持ちのレンズを色々と差し替えて使ってみたが、画質に気になるほどの劣化は見られないし、なにより、搭載されたヘリコイドを繰り出してのマクロ撮影が非常に気持ちよく行える。マクロ撮影での合焦点付近では、印刷物の網点まで感じられるキレがあり実用には十分な光学性能を有していることが分かった。

Nikon Df:Voigtländer ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical + Kenko NA Macro TELEPLUS MC7:ISO800 f2 1/60

このテレコンバーターを入手してから、主にマクロ撮影用途でかなり重宝して使っている。

今までは、Voigtländer ULTRON 40mmで接写したい場合には、このレンズに標準で付属しているクローズアップレンズを装着して撮影していたのだが、MC7の方が扱いやすいしボケ味のコントロールもし易いため、最近ではこちらの出番の方が圧倒的に多くなってしまった。

Kenko NA Macro TELEPLUS MC7はかなりイイ。

Nikon Df:Ai Nikkor 50mm F1.8 + Kenko NA Macro TELEPLUS MC7:ISO200 f2.8 1/1600

Nikon Df:Ai Nikkor 50mm F1.8 + Kenko NA Macro TELEPLUS MC7:ISO200 f2.8 1/320

強いて、難点を挙げるならば、NIKKORレンズとはヘリコイドの回転方向が逆だという点だろう。NIKKORの場合、ファインダー側から見て左向きに回転させると近景に焦点が移動し、右向きに回転させると無限遠方向に移動するのだが、MC7の場合は逆なので、ピント合わせをする時に一瞬「…あれっ?」となることがある。同じKenko製のソフトレンズMC SOFT 45mm F4.5も同様なので、Kenko製のレンズ関係はこの仕様なのだろう。こればかりはこちらが慣れるしかない。

また、Aiモデルより前のNIKKORいわゆる “非Aiレンズ” では使用できないのも残念ではある。
手持ちの非Aiレンズで試したところ、無理やり使おうと思えば使えるのだが、絞り環を回すのが非常に硬く、無理に回すとどこかが削れそうなのでやはり使えないと考えた方が良いだろう。

“画質” という点だけを見れば、無論、近年のテレコンバーター製品とは比べものにはならないのだろうが「テレコンバーターやマクロレンズに数万円も出すのはなぁ…」というちょっと使ってみたい程度の人には、中古で数千円で入手できるMacro TELEPLUS MC7は、2倍テレコン+マクロ撮影で二度美味しいアイテムとして、画質と価格のバランスを考えても面白い選択肢ではあると思う。

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