STRiDAで出かけた先でちょっとだけ長時間露光撮影をしたいなと感じることがあっても、必須アイテムである三脚を持ってきていない場合には諦めることになる。そうした事が何回かあったのを機に、クランプ&自由雲台を用いて “ストライダ型カメラ用三脚” を構築してみようと思い立った。
色々と調べて評判の良いパーツ、自分の使い方に合っているパーツを3点入手した。
まずは、カメラを設置するのだから当然雲台が必要である。
手元にある大きな三脚で使用している《SLIK バル自由雲台》を外して持ち出すこともできるが、これは300g近くあり、バッグに放り込んで気軽に持ち運ぶには少々重いしゴツいので、バル自由雲台の小型版とも云える《SLIK 自由雲台 SBH-110》を選んだ。
これは耐荷重2kgだが、私の場合には載せる機材はNikon Df+広角~中望遠の単焦点レンズの組み合わせに限られるので、最も重い組み合わせでも1.5kgを支えてくれれば必要十分である。この自由雲台の重量は123gと、剛性/重量のバランスも良い。
ちなみに、《バル自由雲台》と《SBH-110》の共通点として、カメラに固定する1/4inchネジ周辺部分が空回りする仕様となっているため、カメラにネジを締め込む際にカメラ底部を傷つけない&締め付けノブが大きめなので力を入れやすく非常に強く締め付けることができる。これは使ってみれば感動さえ覚えるとても素晴らしい製品デザインなのだが、何故かこの点に触れられているのはあまり目にしないのが不思議だ。機会があれば、ゴムやコルクをただ貼り付けてある雲台と比較してみれば、SLIKのこれら製品の素晴らしさに気がつくだろう。
次は、雲台をSTRiDAに固定するためのクランプである。同じような用途・形の製品が多数ある中で、評判のよい《SmallRig スーパークランプ 735》を選んでみた。
全て金属製(アルミ合金/ステンレス鋼)で加工精度も悪くはないし、締め付け動作もスムースで使いやすい。また、ネジ穴が、1/4inchと3/8inchの2種類が用意されているため今後の応用の幅も広がりそうなので選んだ。
これは、15~40mm径のロッド状のものに固定できるので、ストライダのハンドルバーやボディフレームにガッチリと固定することができる。重量は133gとちょっとずっしり感があるが、樹脂製でいつ壊れるか分からないようなものは使いたくないのでこれでイイ。
3点目は、クランプと自由雲台を接合するための両オスネジである。
雲台側は1/4のメス。クランプ側は1/4と3/8があるので、より剛性を期待できる3/8メスを使用することにしたので、必要となるのは1/4オス↔3/8オスのネジとなる。
ちょうど良い製品がエツミから発売されていて《型番 E-6938》がこれにあたる。エツミと云えばカメラ用品では信頼のあるメーカーなので、ネジ切りの精度などは当然全く問題は無い。
これら3点を組み合わせて、クランプ式雲台を構築した。
まだ一度しか持ち出していないが、実際に使った印象はとても良かった。
総計で267gなのでバッグの底にでも入れておけるし、移動の際には雲台からカメラは外して、このクランプ式雲台はSTRiDAのフレームに付けっぱなしにして乗っても問題は無さそうな印象。無論、長距離を移動する場合には念のため取り外すが、2時間程度ちょこちょこと移動しながら撮影してみたが、その間付けっ放しにしておいても特に緩んでくるということも無かった。
ストライダに強くクランプすればガッチリと固定されるし、構造的に変な角度でカメラを支えることになる自由雲台も、長時間露光中に次第に重さで垂れてしまうということも全くなく実に快適に最初の使用を終えることができた。
カメラ用三脚と違い、自転車は力を加えれば割と簡単に動いたり揺れたりしてしまうので、構図を調整する際にそのあたりのことに気を配りつつ作業を行うこと、そしてシャッター操作の際にケーブルレリーズか露出ディレー機能を使って揺れないように配慮することで問題なく撮影できた。視点の高さが欲しい場合には対応できないという弱点はあるものの、不意の緊急用途としては実用性の高いアイテムに仕上がったという満足感がある。
また、自転車でなくても、たとえば手摺りなどの堅いロッド状ならどこでも固定できるのがクランプ式雲台の良いところなので、三脚NGのような場所でも最小スペースでカメラを固定できるという点は三脚には無い利点と云えるだろう。展望台からの夜景撮影などでも感度を上げずにスローシャッターを使えるようになるので効力を発揮しそうである。