kishin 貴真

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20230131

/OTHERSPHOTOGRAPH

Nikon Dfのグリップを張り替える

昨年の半ば、ずっと使っているNikon Dfの右グリップの革が剥がれてきて、革とグリップ本体の間に空気と劣化した接着剤が入っている感じで、強く握ってもちょっとズレるような滑るようなとても握りにくい状態になってしまっていた。

ちょっと調べてみると、メーカーにグリップの張り直し修理を依頼した場合、工賃は3万円以上かかることが分かった。さすがにたかだかグリップの張り直しでその金額は同意しかねるので、自分で張り直すことにした。

まずは材料が必要だ。

張り替える革はジャパンホビーツールの《カメラ張り革シート ライカタイプ1》を選択してみた。それをグリップ本体の樹脂部に貼るための接着剤は、色々と情報収集をした結果、コニシの《速乾ボンドG103 耐油型・一般工業用》に決めた。

そして最も重要なのが型紙である。

入手した張り革をカットするための型紙だが、メーカーが提供してくれていればよいのだが、そんな都合良くはいかないので自分で制作する必要があった。まずは、グリップから古くなった張り革を剥がした。これは両面テープで接着されていたので力を加えれば比較的容易に剥がすことができたが、そもそもの経年劣化と剥がす時に引っ張る力でちょっと伸びた状態で剥がれた。

剥がした張り革をスキャンし、Illustratorでトレースしてベースとなるパスを作成。
それを印刷して切り抜き、Dfのグリップに当てて確認しながらIllustratorで細部の形状を調整、また印刷して切り抜き、更に細部の形状を調整…ということを繰り返しながら、張り替え用の型紙を作った。

そこでちょっと考えたのが、ボタンやダイヤルなどの操作系に沿うようにある複雑形状部位の革は、グリップを握る時には必要のない部分なので、ナシにしてシンプルな形状で張ってしまうのも良いのかと考えた。初めてのグリップ革の張り替えなので、果たして革シートを綺麗に切り抜けるのか、接着剤で上手く張れるものなのか、接着したものがどの程度の期間使えるのかなど不明なところも多々あったので、まずはお試しのつもりで簡易な方法を採ってみることにした。

シンプル形状の方でカメラ張り革シートをカットしてみた。ハサミでカットしたのだが予想していたよりもずっと容易かつ綺麗にカットできる素材だったのが良かった。そして、速乾ボンドG103をグリップ側と革シート側それぞれに薄~く塗り伸ばしてから張り合わせて、クランプで丸一日抑えておいた。

見ての通り、本体中央寄りの詳細部分は省略したシンプル形状で張り替えてみたが、言われれば分かるというくらいに違和感の無い仕上がりになって満足している。

結果として、張った革がダブつくような様子もなくかなり固く張られている状態にできた。それから4ヶ月ほど使ってきたが特に変化もないので張り替えは成功したようだ。当たり前のことなのだが、やはりしっかりと握れるグリップは頼もしい。

せっかく作った型紙なので、A4サイズのPDFにしたものを置いておく。ほぼいないだろうが、もし必要な人がいれば自由に使ってもらって構わない。無論、使う際には自己責任ということで。

いつかまた、張ったグリップが劣化して張り直しが必要になったなら、今度は詳細形状でしっかりと完全に張り直ししてみたいと考えている。今回の仕上がりを見る限りでは、その日が来るのは随分と先になりそうではあるが。

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