kishin 貴真

20210705

/DESIGN

ようこそM1チップ 新iMac

iMac 2021

人生で最初に購入したパソコンはAppleのロゴがまだ6色林檎だった頃の “初心者向けバリューセット” 的な製品だった〈Macintosh Performa 630〉である。その時、パソコン自体の使用経験も知識もゼロだったため、MacだWindowsだというOSのことも知らないし、何を揃えればいいのかも価格の相場も全く分からなかったため、とりあえず家電屋に並んでいるパソコンの中で最もキレイなカタチをしているものを直感で選択した。

それが、当時『アップルコンピュータ株式会社』のMacintoshであった。

その後、Macを使い続けることになる。
初心者向けのPerformaから始まり、その後ちょっと上級向けのPowerMacintoshあたりをメモリやHDDやPCIカードを増設しつつ使うようになり、革新的だったカラフルな初代iMacが発売される頃にはそれなりの知識を身につけていたため、より高性能なPower Mac G3/G4/G5を使っていた。その頃は、映像編集や3Dモデリングなども趣味でやっていたので処理パワーやデュアル・ディスプレイも必要だったのだが、その後、パソコンで行う作業を整理することになった結果、一体型の21.5inch iMacに落ち着いたのが2014年である。

iMac Late2013 分解

それから7年間、そこそこ難易度の高い分解をしてメモリ増設やHDD→SSDへの換装などを行って今まで使い続けてきたのだが、やはりここ数年は、ソフトウェアの要求するハードスペックの高まりなどが理由で処理に時間がかかるのが気になってきていた。特に、「ミュージック」で音楽を再生しながら、Adobeソフトを使おうとすると極端に処理が遅くなるため、音楽はMacを使わずにiPhoneやiPadで聴かざるを得ない状態になっていた。

そして、macOS Big Surで、とうとうOSのアップデート対象モデルから外れてしまったのを機に、次の新iMacが登場したら買い換える事を決意していた。

そして登場した新しいiMacは、ここ10年で最も興味を掻き立てられるMacでもあった。

プロダクトデザインは一新され、プロセッサもApple製 M1チップになり、軽く薄く美しい。
近くの正規取扱店に行って実物に触れるとさらに細部の美しさが感じられ、ディスプレイの精細で美しい表示品質は間違いないし、力を入れて開発されたであろうスピーカーから出る音も一体型パソコンとしては満点以上の仕上がりになっていると感じた。

CTO(ハードウェア構成のカスタマイズ注文)をしたこともあり、注文から1ヶ月以上待ってようやく届いた新iMacは、やはりかなり良い製品で満足感が高い。ディスクは外付けに十分な容量のものを使っているので、内蔵は今までと同じ500GBのSSDとした。メモリは後で増設できない仕様となっているため初めから最大の16GBに変更し、キーボードもいつも通りJIS配列からUS配列に変更して注文した。

カラーは、私の環境に似合うシルバーを選択。
今回のiMacのカラフルさは初代iMacのような若干オモチャっぽいものではなくもっと大人で上質なカラフルさなので、レッドやイエローやブルーもアリかなと一瞬だけ迷ったのだが、やはり前面に色帯があるとデザイン時に邪魔になると感じてシルバーにした。モノトーンで揃えている既存の周辺機器とのコーディネートもあって、結果、正解だったと感じている。

まだ到着したばかりであるが、とりあえず作業環境を古いiMacに合わせて設定してみた。今回はMacに用意されている移行プログラムを使用せずに時間をかけて手作業で色々と設定を再現した。丸2日ほどかかったが、もう必要ないアプリやそれに付随する環境設定ファイルやキャッシュファイルまで移行されて無駄なディスクスペースをとられたくないので時間をかけたが、結果、500GBのSSDの残りは400GB以上ある状態にできた。なお、ほぼ同じ状態であるはずの旧iMacの残量は60GBとなっていて、用途不明に占有されていた数百GBが無駄な状態になっていたので、これを改善できたのは良かった。

新しいiMacで仕事を再開してみたが、具体的に劇的に変化しているという感じよりはむしろ、何をするにしても余裕がある印象で、全体的にパフォーマンスが底上げされている感じなので作業がサクサクと進んで楽しい。

また、Retinaディスプレイなので、文字表示や繊細な曲線のある図形の表示がとても美しいのも作業を楽しくさせる一因と言えるだろう。この点については、アプリによっては高精細な解像度に最適化されておらず表示に若干の問題が発生することもあるが、これは世の中的にRetinaディスプレイが標準になるまでもうしばらく時間が必要だろう。

特にWebサイトの表示については、高解像度を想定していないサイトの低解像度画像のボヤッとした感じはかなり気になる。Retinaディスプレイの表示に耐える高解像度画像の使用やスケーラブルなSVG形式の使用が今後は益々重要となってくるだろう。

iMac2021 白ベゼル

大満足の新iMacなのだが、1点だけ非常に残念な点がある。
それはベゼルを白にしてしまったところ。

ベゼル=表示領域周辺は黒でなくてはいけない。これは外界とコンテンツを明確に分離し、コンテンツに集中させるために絶対的に必要な判断であるのに、黒ではなくグレーでもなく輝度の高い白にしてしまうというのは完全なミスデザインである。この点は、iPhoneに白ベゼルが登場した際にも指摘していて言い続けている事でもあるのだが、最近のiPhoneやiPadではようやくベゼルが黒一択に戻ってきて安心していたところでもあったので、非常に残念である。

iMac2021

周辺アクセサリを企画・販売しているメーカーにお願いしたい。
是非、新iMacの白ベゼルを黒ベゼルに変える枠シールを販売して欲しい。ただ、これが発売されても私は買わない。理由は明白で、新iMacの表面は完全にフラットになっていて、故に美しいからである。

製品写真では分かりにくいが、白ベゼル部と下部の色帯部の境界に段差や溝などは全く存在しない。その理由は、この二種類の塗装(?)の更に前面に全面を覆う一枚の大きなガラスを貼る構造になっているためである。だから、後で白ベゼルに黒いシールを貼るような無様な解決方法は成立し得ない、故にデザイン段階で黒ベゼルを選択して欲しいのである。

iMac2021 ディスプレイの傾き

なお、一部の新iMacはスタンドに対して本体(ディスプレイ)が傾いて取り付けられているという製造上の問題が報告されているという情報があったので、念の為に自分のiMacも測ってみたところ、向かって左側の方が約1mm低くなっていた。これが問題のある状態なのか誤差の範囲なのかはAppleの考え方次第だろうが、このサイズで1mmの傾きは実用上問題は無いので、Appleに問い合わせなどをすることなくこのまま使用することにした。
ちなみに、旧iMac[Late2013]も測ってみると、こちらは逆に左側の方が1mm高くなっていたので、やはりこの程度の誤差はあるものなのかもしれない。

ともあれ、Retinaディスプレイの高品質な美しさ、音質の良さ、堅実な処理性能の高さ、リーズナブルな価格、そしてハイレベルのプロダクトデザインと、間違いなく大ヒット製品になるであろう〈新しいiMac〉は、実際に手元に届いて使ってみると、その魅力をより強烈に体感できるものであった。今後、また数年の間、このiMacには大活躍してもらおうと思っている。