kishin 貴真

20190321

  /  PHOTOGRAPH

Nikon Df の問題点

Nikon D5300:Ai AF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D:[105mm] ISO640 f5.6 1/25

最近は、時間ができるとDfで色々と試していてそれはもう愉しい。独自のカスタムピクチャーコントロールもいくつか出来上がってきたが、これは今後実際に撮影に使用しながら更に微調整を重ねて仕上げていこうと思っている。

Dfには全体的にとても満足していて、自分の撮影スタイルに信じられないくらいにしっくりと合った一台だと日に々々実感しているのだが、不満がゼロという訳でもない。以前は『Nikon Df2』登場の噂も囁かれていたらしいが、近年にはその可能性はほぼ無さそうだと云う結論で一致しているようだ。けれどもし、その時が来るならば是非にも検討してほしいDfの個人的な不満点を書いてみたい。これは今後、Dfを入手することを検討している人にも、購入前にチェックすべき点として多少は参考になるかもしれない。

【問題点:電源スイッチを人差し指一本で回せない】

突起の無い円形状であり、ある程度の硬さもあるため、スイッチのON/OFFを行う場合には、人差し指と親指で挟むようにつまんで回すしかないのがもどかしい。やはり、ほぼ無意識レベルでON/OFFが可能なように、ひっかかりとなる突起は欲しいところである。

Nikon Df 電源スイッチ

また、この「挟むようにつまんで回す」ことは弊害も生んでいて、別売りのソフトシャッターレリーズAR11を装着している場合、これを同時に回してしまうことで徐々に緩んでしまい、気がついたらソフトレリーズを紛失しているという例もあるようなので、改良の余地のある部分であろう。

【問題点:ISOダイヤルのロックボタンは必要か?】

各ダイヤルのロックがいちいち厳しすぎるという根本的な問題がある。ある程度のオート撮影をする場合にはユーザー各々に「この設定はここで固定しておきたい」という部分があるのは理解できるが、Dfは、他の機種とは異なり、フルマニュアル操作も強く意識したコンセプトを持ったカメラである以上、ファインダーを覗きながら各ダイヤルを容易に操作できるように考えを振り切って、ダイヤルのロックは必要最低限にして欲しかった。

更に欲を言えば、ロックする/しないをユーザーが決定できる機構であれば尚良いだろう。例えば、一部のNikkorレンズの絞り環ではそうした機構が取り入れられており、ある絞りで固定することもできるし、回転をフリーにしておくこともできる。と、言うのは簡単だが、実際にそうした機構を取り入れるとなると、構造や部品構成も複雑化するため難しいところではあるのだが。

Nikon Df ISOダイヤル

ちなみに私の場合、ISOは頻繁に変更するため、このダイヤルに付いているロックは本当に邪魔でしかない。ISOを変更するには(ほとんどの人がそうしていると思うが)親指でロックボタンを押しつつ、人差し指でダイヤルを回す。しかしこの操作をファインダーを覗きながら行おうとすると不自然な体勢となり二の腕~肘あたりがつりそうになって極めてツライ。当初はそうしていたのだが、ちょうど野球のボールを投げる時のような形で、親指でカメラ底部を支え、人差し指でロックボタンを押し、中指側面でISOダイヤルを回す方法を発明してからはファインダーを覗きながらでも容易にISOを変更できるようになったのでオススメである。

【問題点:シャッタースピードダイヤルのロック位置問題】

シャッタースピードダイヤルに関しては、全域でロックされている訳ではなく、1/4000秒~4秒まではロックボタンを押さなくてもフリーで回転させることができる。これはイイ…と思ったのだがしかし、致命的な問題が潜んでいた。シャッタースピードダイヤルでシャッタースピードを変えていると、ある地点でガチッとロックされてしまい回転させることができなくなる。その地点とは、〈1/4000〉から〈1/3 STEP〉に回した時である。一旦〈1/3 STEP〉に入ってしまうと、ロックボタンを押さないと〈1/4000〉に戻れない仕様となっている。

Nikon Df シャッタースピードダイヤル

もちろん〈1/4000〉になったらそれ以上回さなければ問題は無いのだが、ファインダーを覗いて露出インジケーターを見ながらシャッタースピードダイヤルを回転させていると、1/4000まで回したことに気がつかずに、次の〈1/3 STEP〉まで回してしまうことは操作の上で必然的に起こりうることだ。これは明らかに実操作を想定しきれなかったことによる設計ミスと言わざるを得ないだろう。

どう考えても〈1/4000〉から〈1/3 STEP〉に移動する=つまりは操作モードが変わるこの境界を超えるためにはロックボタンを押さなければならない仕様にすべきだっただろうと思われて残念である。この問題があるため私の場合には、逆に〈1/3 STEP〉+コマンドダイヤルでのシャッタースピード制御に慣れることに決めた。

【問題点:メニュー画面の使いにくさ:不要項目の配慮】

これはDfに限ったことではなく、Nikonのデジタル一眼全てに共通することだと思われるのだが、液晶画面で操作するメニューがとても使いにくい。カメラの機能が豊富になるに伴い、設定できる項目が増えるのは必然だし、それ自体に問題は無い。問題なのは『全てのユーザーが全ての機能を使う訳ではない』という事実に配慮していないことである。そのため、目的のメニュー項目に辿り着くためにひたすらに十字キーを押し続けることになる。

例えば、私の場合にはオートフォーカスはしないしフラッシュもBKT撮影も全く行わない。つまりはカスタムメニュー内の『a オートフォーカス』と『e フラッシュ・BKT撮影』の全項目がまるっと不要である。また、カメラ内で画像をどうこうすることも無いため『画像編集メニュー』タブ自体が不要である。

上記以外でも不要な項目は多く、スライドショー/プリント指定(DPOF)/アクティブD-ライティング/感度自動制御/シャッタースピードの簡易シフト/HDMI/位置情報/ワイヤレスリモートコントローラーのFnボタン/ワイヤレスモバイルアダプターが不要。

更に、一度設定したらほぼ変更しない項目まで挙げるなら、画質モード/画像サイズ/JPEG圧縮/RAW記録/色空間/長秒時ノイズ低減/電子音設定/ISO感度表示/連番モード/インフォ画面の表示設定/イルミネーター点灯/[電球]ボタンの機能/マルチセレクターの半押し起動/Fnボタンの機能/プレビューボタンの機能/ボタンのホールド設定/カードなし時のレリーズ/インジケーターの+/-方向/フリッカー低減/言語(Language)/縦横位置情報の記録…と常時表示される必要のない項目が何と多いことか。実に、111項目中63項目にも及び、半数以上を非表示にしてもカメラの運用には差し支えないことになる。

この問題には、簡単な解決策が考えられ、『非表示項目の管理』という機能を持ったメニュー項目を用意して、その中で各項目の表示/非表示を管理できるようにするだけで十分である。そうすれば、普段のメニュー操作時には各ユーザーが必要とする項目だけが表示され、非表示項目に指定した設定をどうしても変えたくなった場合でも『非表示項目の管理』から目的のメニュー項目を表示に切り替えればよいだけとなる。単純なUI(User Interface)概念であるが、上記のように不要項目があまりにも多い現状にあっては、その効果は軽視できないだろう。

【問題点:マイメニューが活きていない】

よく使用する項目を『マイメニュー』として登録できる機能がありこれは一見すると便利そうなのだが、実際はあまりその利便性を発揮できない。まず、インフォ画面からこの『マイメニュー』をダイレクトに呼び出す方法が提供されていないことは残念すぎる。

この問題に付随するが、インフォ画面の下段のボタン群のカスタマイズができないこともメニュー操作の煩雑さを助長することになっている。ここをカスタマイズすることを可能とし、『マイメニュー』ボタンを配置することができるようになれば、想像以上にメニュー操作のストレスは軽減できるだろう。個人的には、室内と屋外では環境光の強弱に合わせて液晶画面の輝度をよく変更するため、『液晶モニターの明るさ』ボタンを配置できるようにしてもらえるだけでも大変助かる。

Nikon Df MENUボタン

また、カメラ背面の『MENU』ボタンの挙動に関しても改良の余地はある。

現状では、『MENU』ボタンを押すと最後に使用したメニューが表示される仕様となっている。繰り返し同じ項目をトライ&エラーで切り替えてみることはよくある操作なので、この“直前仕様”は良いのだが、一方で折角よく使うメニューをまとめているマイメニューに移動するには十字キーを何度も押さなくてはならないのがもどかしい。例えば、『MENU』ボタンをポンッと押せば現状の動作となり、押した後に離さずに長押しし続けるとパッとマイメニューに切り替わる仕様とすれば、マイメニューの存在意義も高まってくるだろう。

ニコンはハードウェアメーカーとしては第一級と言って異論を唱える者はいないだろう。そして、ハードの電子化に伴い、それを制御するためのソフトウェア開発の知識や経験も高いレベルに到達していると言って間違いはないと思う。

けれど、そうしたハード制御系のソフトウェアのスキルと、UI開発のようなソフトウェアスキルは根本的に異なる分野にあるものである。そして、時代の流れとともに今後は更に後者のようなUI分野でのソフトウェアの質も求められるようになっていくことは必定であるから、そろそろニコンも本腰を入れてその方面に取り組んでいって貰いたい。そこを疎かにしていると、気がついた時には「Nikonは、ハードとして見れば良いカメラなんだけど、道具としては使いづらいよね」というマイナス面が定評となってしまいかねない時代はもうすぐそこに来ているかもしれないのである。

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私は、Dfの前からD5300を使用しているのだが、図らずもD5300で使用していたリモートレリーズMC-DC2や予備を含めた電池パック2個がそのままDfでも利用できるのは嬉しい誤算であった。今後は、持ち出すメイン機は純粋に美しい写真を愉しく撮影できるDfとし、切り抜き前提のブツ撮りなどで少しでも高解像度の方が有利となるような撮影ではD5300を使用するという使い分けをしていこうと考えている。

また、自分だけのカスタムピクチャーコントロール作成のためにPicture Control Utility 2も使い込んでそのクセがだいぶ分かったきたので、トーンカーブの扱い方のコツなどを含めたTips的な記事もそのうち書いてみようかなと考えている。

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