kishin 貴真

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20160721

/FOODS

恋するまんじゅう

山田屋まんじゅう

品のある小振りな佇まいで、透明感のある薄皮に包まれた繊細の極地に達している漉し餡。
自分の中での唯一無二の饅頭として『山田屋まんじゅう』は、その地位を確固たるものとしている。

山田屋まんじゅうに出会ったのは2年前に道後温泉を訪れた時。

山田屋まんじゅうの直営店『道後温泉店』内に併設されている茶房『茶楽』にふらっと立ち寄り、濃厚で旨味豊かな玉露をいただきながら旅の疲れを癒していた時、一緒にいただいた小さく控えめな佇まいの饅頭の美味しさに驚嘆したことを今でも鮮明に覚えている。

その時には“山田屋まんじゅう”という存在自体を知らなかったので、旅の途中で出会えた素晴らしい饅頭にただただ感服し、一期一会のその出会いを悦んで茶房を後にした。

山田屋まんじゅう

それから時は経ち、旅を終えて広島に棲みついてから数カ月もしてから、近くのデパート内に山田屋まんじゅうの販売店が存在していることをようやく知ることとなった。この販売店を発見したときの胸が高鳴る感覚は、“出会い”という体験の根底に共通して内在している特別なもので、つまりは恋の感覚に似ていたと云ってもよいだろう。

それからは、度々この販売店に立ち寄っては、4〜5個だけ買って帰る。そんな付き合い方をしている。

いつもはそんな感じなのだが、先日はちょっとしたイベントを行っており、通常は「まんじゅう」しか扱っていないところを「しるこ」の販売も行っていたので購入してみた。

名水しるこ「きら」

名水しるこ「きら」の繊細かつ上質な仕上がりは、山田屋まんじゅうの精神をそのまま受け継いだものとなっており、きりりと冷やしていただく味わいは格別。機会があれば是非試してみてもらいたい。機会が無ければ、機会を作ってでも試してみてもらいたい。その価値が充分にある逸品だと思う。

丁寧・上質・繊細・上品・絶妙…そうした精神が製法と共に一子相伝で受け継がれて今もある。

この会社の商品ラインナップの少なさを考えると、遥かな年月を超えて尚絶えることなく受け継がれてきたこと自体がある種の奇跡とも思えて、その深さ貴さが小さな饅頭に凝縮されていることに感動さえ覚える。

「珠玉の逸品」という言い回しがある。
饅頭に関して云うなら『山田屋まんじゅう』こそがその表現に相応しい存在だろう。

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