kishin 貴真

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20160218

/FOODS

KEY クリスタルドリッパー

KEY クリスタルドリッパー

先日、不意の荷物が届いた。

自分で注文したものは当然把握しているので、心当たりのないお届け物には少し警戒してしまうのだが、アーモンド臭がしないことを確認してC-4爆弾ではないことを祈りながら開けてみると、KEY COFFEEからの色々なアイテムが入っていた。そういえば、少し前にWEB上で見かけたキャンペーンに応募したような記憶が薄っすらと蘇ってきた。どうやらそれに当選したらしい。

当たる時は当たるものだなぁと思う。

以前にも、10万円分の旅行券が当たったことがあり、それに関しては応募した記憶さえ全くなかったのだが、「さぁ当たれ!」と欲張りになっているほど当たらないように世界は出来ているのかもしれない。

当選したのは『KEY COFFEE ドリップ体験セット』というもので、キラキラと輝く円錐形のドリッパーと耐熱ガラスのコーヒーサーバー、円錐形の専用フィルター、トアルコ・トラジャの黒い粉、そして何故かメジャーカップだけがKalita製のもの、それらがドリップ体験の一式として入っていた。これがもし『トリップ体験セット』ならきっと、注射器と白い粉のセットになるのだろうなと、この時期には少々不謹慎なことを考えながら箱を開け、同封されていた当選案内の文面を読むと「ハンドトリップ」というミスタイプがあり思わず苦笑いしてしまう。

KEY トリップ体験セット

珈琲は好きなので、珈琲を淹れるのには、コーヒーメーカーから始まって、ドリッパーとペーパーフィルター、ネルドリップ、エアロプレス、エスプレッソマシンなどと過去様々なアイテムを使ってきた。最近は、日々のメンテナンス性や手軽さを重視してシンプルなドリッパー(Kalita/3穴)&ペーパーフィルターの組み合わせに落ち着いているので、この円錐形のドリッパーがどういう珈琲を飲ませてくれるのかは興味があるところ。

今回のセットには珈琲豆が挽いた状態でセットになっていたが、せっかくなので、手元にあったOBSCURAの新鮮なインドネシア豆を挽いて試してみることにした。

クリスタルドリッパーをセットして湯を注ぐ。
私の場合は、熱湯を木の匙ですくって少しずつ珈琲粉の上に落としていく感じで抽出する。一度に大量にお湯を注いでしまうと、ドリッパーの側面を伝って落ちてしまうので軽い風味になってしまう。そのため、できる限りお湯は珈琲の粉の中を通っていくように、ネルドリップのやり方に近い感覚で湯量を微調整しながら少量ずつ丁寧に抽出している。

この点でいつも懐疑的になるのが、ドリッパー内部の側面形状に関してメーカーの説明などでよくあることなのだが、「こうした形状にすることでお湯が珈琲の旨味を最大限に抽出…云々」というもの。側面形状がどうであれ、そこはフィルターの外=珈琲粉が無い部分なので、形状が直線だろうが螺旋形だろうがダイヤカットだろうが、お湯は珈琲粉に触れずに落ちていくのだから抽出結果には影響が無いのではないかと思う。そうではなく、できるだけその側面部分をお湯が直接通ってしまわないように、珈琲粉の真ん中付近を主に使って注ぐことが重要だと、私は確信している。

クリスタルドリッパーの場合にはどうかと云うと、ダイヤカットの凹凸が思いのほか大きい。抽出の状態を観察すると、凹凸の凸部頂点でフィルターを支えることで、フィルターとドリッパーの側面の接地面積が小さくなっているのが見て取れる。およそ1/2程度になっているのではないだろうか。つまり、フィルターが側面から離れてドリッパー内部に浮いている状態に近くなることで、お湯がフィルター外に出てしまうことを防ぐ効果があるように思われる。「ダイヤカット部分でお湯がジグザグに流れる」ということよりも、そもそもフィルター外にお湯を出さないという点の方が重要なのでこの構造は良いと思う。

また、クリスタルドリッパーの特徴としてはもうひとつ、円錐形であることとその頂点に位置する抽出の穴が一個だということも重要だろう。こうすることで、多めのお湯が注がれたとしてもすぐにどんどん落ちてしまうのではなく、お湯がある程度の時間ドリッパーの中に留まって十分な抽出の機会を持ってから適量ずつ落ちていくように工夫されているものだと思われる。

実際に淹れたものを飲んでもそうした感想を持った。
私の通常の淹れ方の場合は元々濃いめに抽出するタイプの淹れ方なので、Kalitaドリッパーとの違いは正直分からなかったのだが、早めの抽出でライトな風味を狙って淹れた場合には違いが現れた。

Kalitaドリッパーは3穴あるので、お湯を注ぐスピードによって風味の濃さ薄さをある程度コントロールできるのだが、クリスタルドリッパーの場合には、濃くはできるが、ある一定以下には薄くはできないようである。そのため、いつも雑に淹れていて「自分で淹れる珈琲は薄いなぁ」と感じている人にはクリスタルドリッパーはオススメかもしれない。キラキラと綺麗だし。

KEY ドリップ体験セット

“美味しい珈琲” の定義は、単に濃ければ良いというものではなく、その時の気分や豆の特徴などが相対的に関連してくるものであるし、使用するフィルターの品質や豆の挽きの細かさも影響してくるので、クリスタルドリッパーが美味しい珈琲を淹れられるドリッパーだと即言い切ることはできないが、淹れ方によってのブレ幅は狭いようなので、毎回ある程度安定した風味を期待できるドリッパーだという評価はしてもよいかもしれない。それと、意外にも洗い易い形状だということは、日常的に使用するという視点からはとても高く評価できる。

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