kishin 貴真

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20230515

/PHOTOGRAPH

雨のあと 色彩と戯れる

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f2 1/250

夜間にしとしとと雨が降った翌朝、雲の切れ間から陽射しが輝き出した頃に近場のバラ園を訪れてみた。

肩からさげているのはFUJIFILM X-E1、レンズは最近入手した『Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4』を付けている。タクマーはAuto、Super、SMCで数本所有しているがF1.4の明るさのものは使ったことがなかったので興味を持っていたところ、運良く “状態の悪いもの” を安価で入手できた。

Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4

前玉、中玉にカビの菌糸が盛大にあり、後玉のトリウムレンズには黄変もある。絞り環の動作も渋いが鏡筒外観はキレイという代物だった。だが、M42マウントのオールドレンズとはメンテナンス前提で付き合うつもりでいる私にとっては「問題無いレンズ」ということになる。これを分解メンテナンスして、黄変の除去も含めて素晴らしい状態に回復できたので、最初のお出かけ先としてバラ園を訪れてみた。

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f1.4 1/800

雨のあとなので、雫がキラキラと輝いていて、花や葉っぱたちの印象が軽やかで瑞々しい。

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f2.8 1/4000

SMC TAKUMAR 50mm F1.4は、色乗りが極めて良好で彩度が少々飽和気味でさえあるなという印象。そして、開放付近の描写がかなり柔らかい。ピント面のシャープさもあまり感じられないくらいに柔らかいので、それを分かって使うとかなり特徴的な描写を愉しめる。

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f1.4 1/2000

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f4 1/250

もちろんF4くらいまで絞れば途端にキリッとした描写になるので、表現したい雰囲気に合わせて巧みに絞り設定を使いこなせるようになれば、これ一本で幅のある表現が可能になりそう。

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f2 1/1000

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f2 1/400

最近、花や植物を撮る時には、形態を崩壊させて溢れ出す色彩に自律性を与えるような、そんな撮り方が気に入っている。その時にどうしても必要となるのがマクロ撮影と極端に薄い被写界深度である。見たことがあるものを、見たことのないものとして再認識するような “新しい眼” としてのカメラには感性を強く刺激される。

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f2 1/2000

FUJIFILM X-E1: Asahi Opt. SMC TAKUMAR 50mm F1.4:ISO200 f1.4 1/2500

FUJIFILM X-E1: YASHICA AUTO YASHINON DS-M 135mm F2.8:ISO200 f2.8 1/3000

教科書に載っていそうなスタンダードな撮り方も良いし、自分の感性にしかヒットしないような撮り方も愉しい。仕事で撮影をするのなら基本を押さえた撮影をする必要があるだろうが、趣味で愉しむのならそこに制約は無い‥‥自由だ。「こんな写真は撮っちゃダメ!」みたいなコンテンツをよく見かけるが、皆と同じように撮って愉しいのか?と疑問に感じる。最初は基本から始めるとしても、そういった教科書を閉じた瞬間からカメラの、レンズの、写真の本当の面白さが始まるのではないかと、私は思う。 

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