kishin 貴真

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20200406

/OTHERS

ストライダのギシギシ音

昨年の秋頃から、STRiDA(ストライダ)に乗ると “ギシギシ” と耳障りな音がするようになってしまっていた。特に、坂を登る際にはその症状は顕著で、せっかくの静音が売りのSTRiDAなのにとても悲しくなっていた。乗る度に、気になって音の発生部位を探るもよく分からず、結局は解決に至らずにいた。

STRiDAは△形状で、3つの頂点部に駆動機構あるいは接合構造を持っている。そのため、まずはその3点を異音の発生源として疑ったのは物理的に自然な判断だろう。ただ、平地を走行している際にはほとんど発生しない症状であるため、緩い坂を登りながら、各フレーム部を握って異音発生時の振動を手の平の感覚で確認したり、かなり前屈みや横屈みの姿勢で曲芸師のようになって漕ぎながら各部に耳を近づけたりして、なんとか異音の発生源を見つけようと試みるも究明には至らない。

ギシギシ音が発生している時に、前フレームを握ると強めの振動を感じられることから、この前フレームが発生源に近いことは推測できた。そこで、まずは頭頂部のボールジョイントを疑うが、ここはしっかりとグリスアップされており、異音が発生する気配もない。それならばと、反対側の端を確認するが、そこには前輪があり、タイヤの回転による異音ではないことは感覚的に分かっていたので、謎は解決せず。

残りの怪しい部位は、折り畳み機構として、前フレームと下フレームを接続する差し込み構造になっている箇所だけなのだが、下フレーム先端の円形の空間に、前フレームの途中に固定されているロックバーを差し込んで組み立てる構造であるが、隙間なくガチッと接続するような感じではなく、余裕を持った隙間があるので強い摩擦による異音の発生源としては物理的に違うな、という判断をしていた。

結局、原因不明のギシギシ音と付き合いながら数ヶ月を過ごしていた。

ある日、乗り終わって折り畳む際に、前フレームに固定されているロックバーから下フレームを外す際に、このロックバーが僅かに動いたように見えた。本来、ここは完全に固定されており動くようにはなっていないハズで “もしや” と直感した。ロックバーをつまんでグゥゥゥと力を込めてみると、固いがやはり動く状態になっていることを発見した。

ロックバーは前フレームにある左右のガイドプレートに挟み込むようなかたちで2つのビスによって強く固定されている。早速、六角レンチで左右のビスを締めてみる。まずは左側を締めようとしたがガッチリと締まっており動かない。次に右側を締めてみると、緩みが有りさらに締めることができた。きつく締めた後、再度ロックバーをつまんで力を加えてみたところしっかりと動かなくなっていることを確認できた。

あとは乗ってみてギシギシ音が解消されるかどうかである。

緊張の点検乗車。まずは平地走行では異音なし。
そして問題の上り坂だが、漕いでも漕いでもギシギシ鳴らなくなった。異音の原因はロックバーを固定するナットの緩みによるものであることが実証できた。初代ストライダでは経験しなかった不具合であるため原因の究明には時間を要したが、数ヶ月のモヤモヤをようやく解消できてとても晴々とした嬉しい結果を得ることができた。大好きだった静音走行のSTRiDAがようやく戻ってきてくれたのだ。

Nikon Df:Micro-NIKKOR Auto 55mm F3.5:ISO200 f3.5 1/1600

今の世界の大きな流れに比すれば本当に些細なことではあるのだが、原因不明の難問を観察と検証と試行によって解決に至るというプロセスは、その事の小ささからは想像できない程の達成感を与えてくれるから不思議なものである。

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