kishin 貴真

20181229

/ART

美術鑑賞を読む

芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本

美術館という空間そのものが好きだ。
明らかに他の商業施設とは異なる時の流れがあって居心地が良い。

鑑賞の仕方は人それぞれだし、自由で良いと思う。

私の場合は、列があってもそこに並ぶことはせずに、混雑してゆっくり鑑賞できない作品があれば、それは一旦後回しにして空いている作品からじっくり鑑賞する。列には波があって、ある作品に対して、混雑している瞬間があるかと思えば、逆に全く人がいない瞬間が発生することもあるため、空いた時にそこに行って鑑賞するという、自分の経験によって理解した応変な鑑賞方法があるのだがこれはオススメである。

また、会場の入口やフロアの中央で全体を見回して、遠目で眺めて直感に任せてピンッとくる作品にめぼしをつけてから、その作品に近づいてじっくりと鑑賞することもよくある。最初から壁伝いに作品を順番に間近で見ていくとどうしても、順番に見なくてはいけないという“義務感”が先行してしまって、それが鑑賞を楽しくなくしてしまう上に、後半になると息切れしてしまって次第にいい加減な鑑賞になっていくことにもつながるため、自分の感性に働きかけてくる作品だけをじっくりと観るというスタイルは気楽で良い。

必ずしも全作品を見なくても良い。順番に鑑賞する必要もない。という簡単な前提を自分に与えるだけで美術鑑賞はぐっと気楽で愉快な体験になる。

先日、図書館でふと目に留まった本を読んだ。

藤田令伊氏の著書『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』というタイトルのそれには、美術に関しては初心者である人がもっと気軽に美術館を楽しめるようになるようないくつかのアドバイスが書かれている。その内容の大半は自分の経験から実践しているものだったので、私にとっては目新しいものではなかったが、人によっては「へぇ、それでいいんだぁ」と感じるような内容となっているのではないかと思われる良書。初心者向けの内容なので、美術について研究の目で見るような人には全くオススメできない本だが、美術館に行くことにどこか敷居の高さを感じているような、肩肘張って疲れてしまうような向きには一読してみて貰いたい内容となっているので、興味があれば手に取ってみてほしい。

美術館といえば、数年前に体験した不可解な出来事を今でも思い出すことがある。

私は美術館で鑑賞する際にはいつもイヤフォンで音楽を聴きながら鑑賞する。これは、他の来場者の話し声、特に大声で知った風な解説をする人がときどき居てそれには辟易してしまうので、そうした状況への対策としてである。無論、他の方に迷惑をかけないように音漏れするような大音量で音楽を聴く訳ではなく、どちらかと云えば耳栓代わりに活用しているという程度である。

その日は倉敷にある大原美術館で鑑賞していた。
すると、美術館の係員が声をかけてきた。その内容は「湿度管理や照明機材に悪影響を及ぼすためイヤフォンは使用しないでください」というもの。意味が分からなかった。どういうことなのか、科学的な根拠があって言っているのか詳しく説明して欲しいと興味本位で尋ねてみたが、係員は当然何も答えられる筈もなく黙り込むばかりで呆れてしまった。美術館側でも音声ガイドを用意しているのに「イヤフォンはダメ」というのは一体何だったのだろう? 後にも先にもそんな理由でイヤフォンを注意してくる美術館はひとつも無いのは言うまでもない。
今でも大原美術館ではあんなことを言っているのだろうか。謎である。

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