kishin 貴真

20160504

  /  ART

作家の創りだす世界

長岡朋恵『イタコのいるところ』

広島に棲みついてから2年足らずだがその間に、この周辺には小さなギャラリーが点在していて年中いろいろなところで規模の大きくない展示会や個展に触れることができると分かり、ワクワクの日々を送っている。

歴史に名を刻んでいる巨匠たちの作品を大きな美術館で鑑賞するのも良いのだが、一方で、まさに今この時代に作品を産み出している作家たちの作品に触れることも興味深いものである。産み出されたその時代の色や匂いが必ず内在してしまうことは芸術作品が背負っている宿命であるのだから、“今”というものを感じる機会として、現代作家の作品に触れるのは実に意義のあることであると思われる。

このGW中にもいくつかのギャラリーに足を運んでいる。

宮内にあるART GALLERY miyauchiでは『フェノメノン展』を観てきた。この展では、広島にゆかりのある作家数名の絵画・立体・インスタレーションなどの展示を行っていたが、その中でも長岡朋恵さんの作品には惹き込まれた。

長岡朋恵『前歯のある丘 その2』『カラカラの道』

八百万の神に出逢えそうなその作品の中を散策してみたくなる。ハシゴを登った先には何があるのか。そっと空けられた横穴の中にひっそりと積み上げられた丸い物は何かの儀式か祀り事か。小さな小さな冒険家を手招きしているような、そのなんとも云えない佇まいの作品世界に一気に吸い込まれるように想像が走ってしまう感覚がとても楽しく心地よい。

使われている素材を見てみると、消しゴムだったり食品サンプルだったり釜だったり…そうしたものを自然素材と絶妙なバランス感覚で組み合わせることで作品固有の空気感を創出しているところがユニークで素敵。

横川にあるカモメのばぁばぁでも『日本画二人展』を観た。

この展で観た松本香菜子さんの作品は、静かな世界の中にその光景に合った柔らかな音が感じられて、気分がふわりと軽くなる感覚が魅力的だった。いくつか展示されていた作品の中でもひと際小さい(正確ではないが10×35mm程度の)『月夜を行く』という作品があったのだが、その画面の物理的大きさを超えて膨張し展開しているように感じられる作品世界に惹かれて購入させていただいた。

月明かりには音がある。透き通った高音で気持ちが凛とさせられるその音のことを話しても誰にも同意してもらえた験しは無いのだが、この作品からはその音色が確かに感じられた。展が開催中なので今もギャラリーで展示したままにしてもらっているが、最終日には引取りに行く予定。手元に来るのが待ち遠しい。

千田町にあるHIROSE COLLECTIONでは、今週の土曜日から久しぶりに展示を行うようなのでこちらも楽しみにしている。ここは年中展示を行っているようなギャラリーではないようなのだが、あまり他では見ないような作品が展開される印象があるので展示を行う際には注目してみたいと思っている。

広島には、訪れたことがないギャラリーがまだまだ数多くあることは知っているので、今年は今まで以上に様々なところにふらりと足を運んで、お気に入りのギャラリーをひとつひとつ見つけていけたらいい。

Twitter