kishin 貴真

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20160101

/OTHERS

初詣と公的ヴァンパイア

広瀬神社

ちょうど日の出の刻に家を出る。空を見上げるとどっしりとした霧が立ち篭めていた。

普段からふらりと立ち寄ってはお参りをしている近所の広瀬神社に参拝。
漂いながら身を隠す場所を探しているような薄暗く冷たい空気の中、提灯の柔らかい光が映えていた。早い時刻で、人影はまだまばらだったが、それでも数人がすでに参拝に訪れていた。

この季節の手水舎のお清めは身体に染み入って、本当に清められている実感がある。
ジャラリと賽銭を投げ込んで、パンッパンッと手を合わせ願う、普段より少しだけ気持ちが入る。
そうしてお神酒を一口いただくのが、初詣の細やかな醍醐味である。

かげくらき 月のひかりを たりよりにて
しずかにたどれ のべの 細道

御籤の中で詠われていたものだが、すんなりと納得できた。
年始にはいつもその年に心に留めておくべき言葉を考え決めるのだが、この詩は、私が決めた今年の言葉を知っていたかのように、それを包み込んで補強してくれるものであった。

霧

初詣を早々に終えて、次の目的地に向かう途中、天空に立ち篭める霧がなお一層と重くなっていた。ビルの上端を包み隠してしまい、あたかも建物が際限のない上空まで伸びているような幻想的な雰囲気さえ漂う光景に、しばらくの間立ち止まって見上げていた。

カフェで朝食をとってから、ヴァンパイアに会いに行く。

ただの献血ルームのことだが、私はそれを公的ヴァンパイアと呼んでいる。一昨年の12月からなんとなく続けている献血を、今年は事前にお願いされて予約してあった元旦に行った。元旦といっても特別なことは何一つなく、いつも通りに受付を済ませ、いつも通りに血を抜かれ、いつも通りにseventeen iceと交換できるコインを1枚受け取る。さすがに今日は寒かったので、アイスを食べる気分にもなれずにコインは財布に収めて献血ルームを後にした。

献血ルーム もみじ

最近の献血ルームは医療施設らしからぬ雰囲気を持っている所が増えているようで、広島市内にある2つの献血ルームもやはりその例に漏れず、ちょっとしたカフェのような雰囲気に設えてある。病院臭さを感じると、途端に子供の頃の入退院を幾度もしていた時分の経験からか嫌悪感を感じてしまうので、こうした雰囲気にしてくれるのはとても行きやすくて良い。

また、私のように会社勤めをしていない者にとっては、会社から要請される定期的な健康診断というものがないため、献血後に通知される血液の成分分析結果は健康管理の程よい指標となって重宝する。

献血ルームから歩いて数分の所に位置する、この地域で最も大きいであろう広島護國神社にも足を運んでみたが、想像を裏切らない大行列を成していた。私は当然、その列に加わることはなく、屋台で買ったフレンチドックを囓りながら家路についた。

広島護國神社への参拝は、後日客足がひいた頃に静かに行うことにしよう。

 
新年 明けましておめでとうございます

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