kishin 貴真

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20180717

/ART

野草を手折って一輪挿しへ

山崎裕子 陶展

暑い日が続くなか、少し気温が下がる夕暮れ時を狙って、本川町にあるLapis Galleryで開催されている〈山崎裕子 陶展〉を観てきた。

ギャラリーに入ると、この作家の色彩感覚がすぐに“心地よい”と感じられた。

鮮やかではないが、かといって存在感が無い訳では決してない独特に豊かな色合い風合い。主張しすぎずにそこに居り、けれど凡庸とは程遠い惹きつけられる魅力が一品々々から滲み出ている。だいたいのカタチは同じタイプでも、個々が一様ではなく微妙に異なった風合いを纏っているあたりに、非人工的な温もりと存在の強さを感じさせる器たちが出迎えてくれる。

山崎裕子 陶展

この展に揃えられたのは大多数が食器としての陶器であったが、数点だけ花器も展示されていた。
その中で、中くらいの大きさの一輪挿しの佇まいに一目惚れ。

この一輪挿しを見つめながら想像してみる。

ちょっと散歩に出かけて、川沿いをふらふらとのんびり歩く。
頃合いは空気の冷たい早朝か、或いは陽の色彩が踊りだす夕刻がいいだろう。
道端に息づいている野草を1、2本ばかり手折って持ち帰り、そっと一輪挿しに挿して愛でる。
日常を静かに彩ってくれそうだ、そう感じてこの作品を購入し連れて帰った。

気負わずに折々の季節を楽しむのには程よい大きさの一輪挿し。
無理なくその場の空気に馴染んでくれる ─ もう幾年月もそこに在ったかのように。
その色合いもぽってりとした輪郭も存在すべてがほんのり優しく心地よい。

山崎裕子 陶展

Lapis Galleryでの展は7月22日まで。その後、8月には尾道でも開催されるようなので山崎裕子氏の色とカタチに触れてみたい方は足を運んでみるのも良いだろう。

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